2種(高校生)
第96回全国高校サッカー選手権大会開幕
2017年12月30日
今年も全国高校サッカー選手権大会の幕が上がった。開会式での選手宣誓を担当するのは、前年度優勝校の青森山田高校。今回は主将の小山内慎一郎が宣誓を行った。抽選で選ばれたとはいえ、2年連続という史上初の大任に、「びっくりしました。『仕組まれているのか?』なんて変なことも考えました。担当することが決まった時は、嬉しいと思うことができませんでした」と当時を振り返った小山内。彼が今日行った選手宣誓の全文を掲載する。
「宣誓。もともと、地上には道がない。歩く人が多くなれば、それが道になるのだ。日本サッカー界の、世界への道のりは、フランス、日韓、ドイツ、南アフリカ、ブラジルへと続き、そして今年、ロシアへの新たな道が、切り開かれました。決して平坦ではなかった、道なき道を歩き続け、私たちに、夢と感動を与えてくれた、代表選手たち。その多くがかつて、活躍した舞台である、全国高校サッカー選手権大会。私たちもまた、この憧れの舞台を目指し、険しい道のりを、歩んできました。息が切れるほどの、上り坂。足がすくむような下り坂。先が見えないぐらい、曲がりくねった道。そんないくつもの困難を、励まし合い、ぶつかり合い、そして、信じ合い、仲間と共に、乗り越えてきました。全国から、同じ夢を追いかけ、歩んできた、48校の道が、ここでひとつになりました。私たちの、終わりのない、挑戦の先に待ち構えている、2020年、東京オリンピック。2022年、カタールワールドカップ。日本サッカー界の、まぶしい未来への道を、次に担うのは、今、ここにいる私たちです。そこへ続くべく、頂点への道を目指し、自分を超えた自分を目指し、私たちは、ピッチに立ちます。時には前に立って、風よけとなり、また、時には後ろに回って、背中を押し続けてくれた、監督、コーチ、家族。支えてくれた全ての方への感謝の気持ちを胸に、正々堂々と、最後の1分1秒まで、戦いぬくことを、ここに誓います。平成29年 12月30日 青森県代表 青森山田高等学校 サッカー部主将 小山内慎一郎」
前回主将として選手宣誓を務めた住永翔(現・明治大学)は、アトレティコマドリード(スペイン)のシメオネ監督の至言、「パルティード・ア・パルティード」を引用し注目を集めた。
小山内が担当した今回は、中国の思想家である魯迅(ろじん)が執筆した小説「故郷」から、「もともと地上には道はない。歩く人が多くなれば、それが道になるのだ。」を引用した。近代における日本サッカーの歩みに触れつつ、選手権から始まるまぶしい未来へとつなげた今回の宣誓も、多くの人に響くであろう名文だった。
青森山田高校が初戦を迎えるのは、新年明けて1月2日、14時10分に千葉県のフクダ電子アリーナで行われる草津東高校戦(滋賀代表)。2連覇を懸けた戦いが、ついに始まる。