1種(社会人)
ラインメール青森、ホーム最多動員を記録するも痛恨の引き分け<JFL第20節>
2024年09月17日
9月16日(月・祝)、ラインメール青森は中断期間明け初となる青森市でのホームゲームを戦った。
KING KAZUことFW11三浦知良が所属するアトレチコ鈴鹿との対戦ということもあり、非常に注目度の高かったこの試合。
J3昇格のためにはホームゲームで平均2000人以上の観客動員が求められている。今季ラインメールはここまで1試合平均1200人超と、過去のシーズンに比べれば大幅な増員に成功しているものの、まだ2000人に達した試合はなかった。
三連休最終日のこの日は天候にも恵まれ、会場のカクヒログループアスレチックスタジアムには開門前から長蛇の列。クラブ史上最多記録となる3019人もの観客が詰めかけ、選手たちを後押しした。
MF13町田蘭次郎、GK17廣末陸、両選手のJFL出場100試合達成を祝うセレモニーも行われた。
チーム得点王のFW10ベッサを欠くラインメールだったが、前半19分、MF13町田蘭次郎のゴールで先制に成功。
「(MF8山口)和樹くんのクロスから(FW18村上)弘有がきれいに落としてくれた」とシュートに至る場面を振り返り、「今、距離感とかフォワードとシャドーの関係性というのは意識しながらトレーニングしています。本当にトレーニングしている形がそのまま出たのと、『やっと入った』というような気持ちです」と初ゴールの感想を語った町田。
2021シーズンにはラインメールのセンターバックとして活躍したDF5平出涼が、アトレチコ鈴鹿の守備の要となりラインメール攻撃陣の前に立ちはだかる。
62分、ついにKING KAZUがカクスタのピッチへ。自身が持つJFL出場最年長記録を57歳203日に更新した。
「0-1で負けている場面でカズを投入するというのは、『点を取る』というメッセージでした」とアトレチコ鈴鹿の朴康造監督。
最後まで1点への執念を見せたアトレチコ鈴鹿が90+4分、ついに同点に追いつき、それから間もなく1-1で試合終了。ラインメールとしてはあと一歩のところで勝利を掴み損ねる悔しい結果となった。
「アウェイで勝点1を取れたというのはひとつポジティブな部分ではあります。欲を言えば逆転したかったなというのは少なからずありますが、選手たちは本当によく走ってくれましたし、よく戦ってくれたと思います」と、試合を振り返ったアトレチコ鈴鹿の朴康造監督。選手としてはヴィッセル神戸などでプレーし、指導者としてはおいらせ町出身の伊藤美紀選手(現浦和レッズレディース)が在籍していたINAC神戸レオネッサで監督を務めた。
選手・指導者として初のJFLでここまで5試合を戦い、「JFLは本当に、選手たちがハードワークするというのが印象的」と話した朴監督。今回対戦したラインメールについて尋ねると、「非常に守備の固いチームで、やりたいことがはっきり整理されているチームなんだなと感じました。一言で言ったらやりにくい相手でした」と答えた。
現役時代はベガルタ仙台、川崎フロンターレ、大宮アルディージャなどで活躍。現役引退後から8年にわたり指導者として携わったベガルタを初めて離れ、今季ラインメールに加入した村上和弘ヘッドコーチ。柴田峡監督の出場停止により中断期間明けからチームの指揮を執り、これが3試合目となる。
試合後の会見では、クラブとして過去最高の動員を記録できたこと、大応援への感謝を述べたあと「ただ、ああいう展開になって最後勝ち切れなかったというところを考えると、勝点2を落とした、というのが正直な印象です」と試合を振り返った。
「選手には、守備の部分ではボールに対してもっと執念を持ちましょう、攻撃ではゴールに執着しましょう、自信と覚悟と責任を持ってプレーしましょう、と言っていますが、そういうところでは執念が足りなかったなと。メンタルで片付けられる問題ではないですが、結果が結果なので、そこは僕も含めてもう少し何かやれることはあったのかなと思います」
「チームとして勝ち切れる力をつけていかないといけない」と村上ヘッドコーチ。ここまで3分の2を戦い終えて、残るは10試合。全勝で得られる勝点30のうち、取りこぼすことなくいくつ積み上げられるか。現在、暫定順位は5位のラインメール。悲願のJ昇格へ、これからが正念場だ。