1種(社会人)
JFLラインメール青森、ホーム開幕戦を白星で飾る
2025年04月08日
今季開幕から4試合をアウェイで戦ったラインメール青森は、4月6日(日)、ついにホーム開幕戦を迎えた。
ここまで2勝2分け無敗で3位と、スタートダッシュに成功したラインメール。対するは、元日本代表の西大伍、小林祐希などを擁し、1年でのJリーグ復帰を目指して初のJFLを戦ういわてグルージャ盛岡。
前半を0-0のまま終えると、試合が動いたのは後半開始早々の48分。DF44藤本裕也のコーナーキックから、最後にゴールネットを揺らしたのは昨季のチーム得点王、FW10ベッサ。
74分にPKで今季初失点を喫するも、最後まで勝利を信じ足を止めなかったラインメール。試合終了が近付いた90分、DF3遠藤元一キャプテンの勝ち越しゴールで勝負あり。
2-1でラインメール青森がホーム開幕戦を白星で飾り、2位に浮上した。
敗れたいわてグルージャ盛岡は8位。
青森山田高校出身のFW11藤本憲明は60分までプレー。
グルージャのGK陣を指導するのは、八戸市出身で青森山田中・高出身の阿部宏紀GKコーチ。
J3昇格のためにはホームゲームの平均入場者数2,000人が必要となるが、この日カクヒログループアスレチックスタジアムに詰めかけたのは1,806人。2,000人には届かなかったものの、スタジアムを包んだ熱気は確実に選手たちの後押しとなっただろう。
東奥義塾高校を卒業後青森県から飛び立ち、Jリーグで選手・指導者としてキャリアを重ね、指揮官として青森県のチームに帰ってきた原崎政人監督。試合後の会見では、生まれ育った青森の地で迎えた初めての試合に「正直試合が始まるとき不思議な感じでしたね。うれしさもあり、ピリッとした緊張感もありで、すごく新鮮な感じ」という心情を口にした。
―今日の試合を振り返って。
まずホームでようやく開幕を迎えることができて、今年は雪の影響でこの開催もなかなか難しい状況だったのですが、サポーターの皆さんも集まって雪かきしてくれたり、そういう環境を整えて今日を迎えられたというのは非常に感謝しております。
いろいろなかたの思いを選手もスタッフも感じていたので、内容も大事ですが今日はどうしても勝利をとりたいなかで、流れとしては先制できて良かったのですが、今シーズン初めての失点をして、それでも下を向かずに最後まで勝ちにいったというのは、今の彼らの成長を感じられたゲームだったので、非常に今日のゲームに関しては満足しています。
―開幕から負けなしで来ていますが、ここまでの評価は。
周りからは悪くない数字だと言われますが、僕は全然満足していません。アウェイの4戦で勝点12、というのは選手にはずっと言っていたので、勝点4を落としているというのが僕の中ではあったんです。今日この試合を勝ったので数字的には悪くないとは思いますが、勝ち切れるゲームで勝てないというのは反省点だと思います。失点は少ないですけど、得点のところで浦安戦と鈴鹿戦は迫力に欠けた2試合になってしまった。そこの反省として、もう少し相手陣に入っていく、相手のボックス内でプレーする時間を増やさなければいけないというのが今の課題かなと思っています。
―決勝ゴールの遠藤元一選手についての評価は。
彼は今シーズンからこのチームでプレーしていますが、今年はキャプテンを選手が決めて、周りも認め、彼自身もチームをしっかり引っ張ってくれているというところで、日頃の彼のチームに対する貢献というのは非常に高いなと思います。彼自身のプレーも開幕した当初よりだいぶ体のキレも出てきていますし、より洗練されてきているという評価はしています。
―J3昇格には観客動員も求められています。
今日1800人という多くの人数のかたが見に来てくれたことは非常に感謝しています。観客動員をもっと増やすために我々は魅力あるサッカーをすること。目の前の試合を勝って、見ているかたが面白いと思えるような試合をできるような状況にするというのが僕らにできることかなと思っています。
―北国のチームは開幕から敵地での試合が多く苦しむことが多いですが、ここまで負けなしで来ている要因は。
選手がキャンプを頑張りました。厳しいトレーニングを僕は課してきたと思うんですけど、北のチームは開幕からなかなかエンジンがかからないという意識はあったので、そうならないように準備はしたつもりで、それを選手が苦しいなかでも必死にやってくれたのがしっかり出たかなと。本当に選手がキャンプを頑張りました。
これまでのキャリアの中では今回のように、最後に自分が点を取って勝った経験はなかったという遠藤元一キャプテン。感想を問われて「すごく気持ち良かったですね。ホーム開幕戦でダービーというところもあって、自分がチームを勝たせることができて良かったなと思います」と話した。
―試合を振り返って。
まずホーム開幕戦というところで、多くのサポーターが集まってくださったのと、青森市の皆さんの期待というのもやる前から感じていたので、絶対勝たなければいけないゲームだなとチーム全員で意識を合わせて臨みました。
相手もJリーグから降格してきたチームで、経験がある選手が多くいるなかで、前半はなかなかボールを握れずに我慢の時間が続いたんですけど、それでも全くネガティブな雰囲気はなかったというか、これをやり続けていこうというふうに後半に臨んで、入りのセットプレーでベッサ選手が(先制点を)取ってくれました。このままいければよかったですけど、PKを与えてしまった後に折れることなく次の点を取りに行く姿勢を全員が持てたことが、たまたま僕が点を取りましたけど、逆転につながったんじゃないかと思っているので、非常にいい試合だったんじゃないかと思っています。
相手もJリーグから降格してきたチームで、ホーム開幕戦ということもあって、ここまで無失点でもありましたし、2勝して2分けして、ここで引き分けるか負けたらまたいつものラインメール青森になりかねないような試合でしたが、「今年は違うんだぞ、というところをみんなで見せていこうぜ」という共通認識の中でやっていたので、勝てて良かったです。
本当に青森市を盛り上げていきたいという気持ちがあるので、勝たないと盛り上がらない。まずは勝つこと。こういう魂の入った試合を見せるということが大事だなと思っていたので良かったなと思います。
勝ったことは良かったんですけど、やりたいサッカーにはまだほど遠いというか。ボールを保持して相手ゴールに多く迫っていくというシーンは少なかったなと思っているので、それをやりながら勝利を求めて、というところをやれたらいいかなと思います。
―ホーム開幕戦で相手はJリーグを経験している手強いチームということで、今日勝ったことをどのように受け止めていますか。
僕たちがJリーグを目指すにあたって絶対負けられない相手だったと思いますし、そういう相手に勝てたのはひとつ自信になると思います。たださっきも言ったように改善しないといけないところはたくさんあって、勝ったからOKじゃなくて勝ちながら修正していく必要があると思って、ポジティブに次に向かいたいと思います。
―今日の勝利でラインメールのことを知る新しいファンもいると思います。来週アウェイで再来週またホームに帰ってくるにあたり、青森の方に向けてのメッセージをお願いします。
本当にこのホーム開幕戦を迎えるにあたっても、ボランティアの方が雪かきをしてくれたりだとか、いろいろな方々に支えられてラインメール青森は成り立っているなというのを感じています。僕たちはやっぱり恩返しをしなきゃいけないですし、一番は勝ってJリーグに昇格することだと思うので、次はアウェイになりますけどしっかり勝って帰ってきて、また青森を盛り上げられるように頑張りたいなと思います。
―最後の大事な場面でなぜ自分にボールが来たと思いますか?
気持ちですね。「俺が決める!」という気持ちでいましたし、それはあのシーンではそうでしたけど、試合の至るところに今年のラインメールがちりばめられているなとは思っていて。「絶対やらせない」とか、「こいつには絶対負けないんだ」みたいなのはみんなそれぞれ、90分の中のいろいろなところで起きていたので。
あそこで僕が「来い!絶対決めるんだ!」みたいな気持ちで入っていって、たぶん(松本)拓海も「絶対決めさせる!」っていう気持ちで上げていたと思うので、そういうのが要因かなと思います。
―このチームは一言で言うとどんなチームですか?
熱いチームじゃないですか。気持ちが前面に出る選手が多いチームだと思います。勝負事はそういうものがないと勝てない。いいチームだなと思います。
―次節への意気込みをお願いします。
監督もいつも「アウェイでもホームでも関係なく、勝点3以外いらない」と言っていて、僕ら選手ももちろんそう思っています。優勝するにあたっては、連勝しないと上には行けない。負けないこと、無失点なことがOKではなくて、勝たないといけないんだという強い気持ちを持っていい準備をして、勝って帰って来たいと思っています。