大学サッカー通信
第12回 大学サッカー通信 ~酢﨑祥人(青森山田高校―常葉大学浜松キャンパス4年)~
2018年01月16日
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第12回 酢﨑祥人(青森山田高校―常葉大学浜松キャンパス4年)すざき さちと
千葉県出身。ヴィヴァイオ船橋から青森山田高校サッカー部に入部。3年時には、闘志溢れるプレーでセカンドチームを牽引し、プリンスリーグ東北2位の好成績を残した。
青森ゴールVol.23、Vol.24にインタビュー掲載。
取材日 2017年11月18日(土)
2017年度 第56回 東海学生サッカーリーグ戦 1部
第22節 常葉大学浜松キャンパス 対 中京大学
東海学生サッカー1部リーグ最終節を首位で迎えた、酢﨑祥人主将率いる常葉大学浜松キャンパス。
優勝が懸かった大一番で敗戦し、惜しくもリーグを3位で終えた。
試合後、悔しさを滲ませながらも、後輩たちへたくさんのメッセージを残してくれた酢﨑選手。
高校時代と変わらぬ熱い姿がそこにあった――――――――
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優勝の可能性を残していたリーグ最終節。敗戦したため、リーグを3位で終えました。
悔しいですね。自分は青森山田の影響が大きいので、今年はオンザピッチだけではなく、オフザピッチのところも頑張ってきました。夏に、東海学生サッカー選手権大会(兼総理大臣杯予選)で優勝できて、冬にリーグ戦を獲ろうとなった時に、詰めの甘さが出たんじゃないかなと思います。
常葉大学に進学した理由を教えて下さい。
関東か東海か悩んだのですが、特に後押ししてくれたのが(青森山田の)正木コーチと大久保コーチでした。「お前は多分、どこでも熱くやれると思うけど、東海の方が1年目からチャンスがあったりするからいいんじゃないか?」と。青森山田から自分が最初にここに来たので、責任はあると思いますし、山田とここが繋がっていければなと思って日々頑張っています。
入学当初は一番下のカテゴリーにいたと聞きました。
4つカテゴリーがありますが、入学してからの最初の3週間は1番下のチームでやっていました。そこで練習しているところにノボリさん(澤登正朗監督)たちが来て、「お前、ちょっと上がってみるか?」と。そこから一気にトップチームに上げてもらいました。本当に奇跡です!コーチの山西さんが、雰囲気が違うところを感じてくれたみたいです。一番下のカテゴリーで自分はすごく物足りなくて、これじゃダメだろ、これじゃ勝てないだろ!と周りに言っていました。そういう部分を求めていたらしくて、プレーというよりもサッカーに対する姿勢を見てくれました。
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120人の大所帯を束ねるキャプテンを務めています。
去年の先輩たちが、「キャプテンは酢﨑じゃないか?」と言ってくれました。自分はキャプテンタイプではなくて、どちらかというと副キャプテンっぽいのかな?と思っていたんですけど、「お前がキャプテンをやって、チームを変えて欲しい」と言われた時に、頑張ろうと思いました。
自分はプレーで引っ張るというよりも、私生活やオフザピッチで引っ張っていくタイプだと思います。ピッチ上でも、チームに穴が空いたところを埋める。汚れ役でいいんです。光る選手はいくらでもいるので、そういった選手が光れるように、自分がどれだけ黒子に徹するかだと思っています。
黒子というのが、今のポジションを見ていて思いました。高校時代はCBでしたが、大学に入ってからはボランチですか?
大学に入ってからボランチです。自分もCBだけなのかなと思っていたんですけど、ボランチができる可能性を見つけてくれたコーチ陣にも感謝しています。ここではサッカーというものをすごく学んでいます。監督やコーチが元プロというだけあって、厳しい要求もしますし、すごく分かりやすく教えてくれます。
澤登監督の存在も大きいですか?
大きいですね!コーチの山西さんやGKコーチの山本さんもそうですけど、3人ともジュビロやエスパルスの黄金期を支えてきた人たちなので、サッカーに関してはすごくうるさいです。だからとても勉強になりますし、自分なんかでも、ここに来てちょっとうまくなったなって思います。
※澤登正朗監督(清水エスパルス/日本代表)
※山西尊裕コーチ(清水東高校―ジュビロ磐田―清水エスパルス)
※山本浩正GKコーチ(清水東高校―ジュビロ磐田―ヴィッセル神戸―セレッソ大阪―愛媛FC-SC相模原)
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高校サッカーと大学サッカーの違いはどういうところだと思いますか? 自分からアクションを起こしてやれるか。例えば、ベンチ外でもベンチの人でも、何かしら絶対チームのプラスになれると思うんです。プラスになろうとしないで、俺はその空気にいればいいやって思っていると、山田にいた「だけ」になるし、大学でもいた「だけ」になってしまう。プレーヤーとしてもプレーヤーじゃなくても、チームのために何かで貢献して頑張ってやっていけたら、もしプロになれなかったとしても、社会に出て行った時に一人の人間として活躍できると思います。
あとは、自分で考えること。高校サッカーは、外からあーだこーだ言われて動く選手がすごく多いと思うんですよ。でも、自分で考えて、対戦している相手のことを分析する能力とかを身に着けないと、大学でやれないと思います。
大学に入ると、誘惑も多いのではないでしょうか? 大学は、どちらかだと思うんですよ。物足りないか、この位でいいんだ、ってなるのか。多分、ほとんどの人が「この位でいいんだ、大学って余裕じゃん」と思ってしまうので、大学に行ったら「あれ?どうなっちゃったの?」っていう選手が多いです。みんな、「大学は自分次第」って言うんですけど、もっと細かくそれを後輩に伝えてあげられたら、後輩たちも喜ぶんじゃないかなと思います。
ぜひ、伝えて下さい!
大学に入ると、本当に好き勝手やれます。例えば、練習が早く終わってバイトしてもいいですし、20歳を過ぎているので飲みに行ったりしても全然良いと思うんですけど、本当にそれをしに大学に来たの?と。自分たちもけっこうコーチ陣に言われるんですけど、常葉大学サッカー部の前に、まず、常葉大学の生徒であることを前提に置いて生活しないとダメ。単位ももちろんそうですし、しっかり学校生活を送った中でサッカーがある。そこをはき違えている人がけっこう多いと思うんですよ。「俺はサッカーをしに大学に来てる」って。悪いことではないですけど、その前に一人の人間としてやるべきことがあるということ。山田は厳しすぎましたけど、大学には自由に羽根を伸ばせる時間があるので、常にこのままでいいのか自分で整理しながら大学生活を送ってもらえたらと思います。自分なんか、山田では試合に出ていなかったのに、ここで試合に出て、全国でも勝ち進んでいける位になっているので。可能性を潰すのも自分次第だと思うので、後輩たちには頑張ってもらいたいなと思います。
酢﨑選手は大学生になって、どうやって自分を律してきましたか? 自分は元々、そんなに遊びたいと思わないんです。考え方が固いって言われるんですけど。こんなことを言ったら山田のやつらに馬鹿にされたり笑われるかもしれないんですけど、本をすごく読むようになったんです。自己啓発の本を読んだりしています。本はいろんな偉人と触れることできるので、この人はこういう風に乗り越えてきたんだなとか、周りへの声掛けや対応の仕方を学んだり、常に勉強しています。
山田では、周りの目や空気を感じて生活していたんですよ。それ自体が間違っていたなと思うし、大学に入ってからもそういうことがすごく多くなるけど、周りに負けずに自分の真意を曲げずにいったらいいかなと思います。周りが笑っていても、自分が信じた道を行けば、道は拓けると思います。
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