大学サッカー通信
第14回 大学サッカー通信 ~ 中村祥旗(青森山田高校→北陸大学4年)~
2018年05月31日
第14回 中村祥旗 (青森山田高校→北陸大学4年)
なかむら しょうき
大阪府出身。レオパルドFC寝屋川から青森山田中学校・青森山田高校サッカー部に入部。センターバックとして中学3年時には全国中学校サッカー大会に出場し、ベスト8。高校3年時には青森山田セカンドを抜群のキャプテンシーで牽引し、プリンスリーグ東北で3位となった。
青森ゴールVol.28、30にインタビュー掲載。
取材日 2018年5月19日(土) 青森山田高校
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青森山田中・高で6年間を過ごし、青森山田高校セカンドのキャプテンを務めた中村祥旗。教育実習のため懐かしい母校に帰ってきた彼に、偶然にも彼の22歳の誕生日であるこの日、話を聞くことができた。
「体育の授業でサッカーをしたり、座学で保健も教えたりしています。指導案を書いて、自分の頭の中で『こう言ったら先生と生徒の距離も縮まりつつ、楽しんで覚えてくれるかな?』といったことを考えながら、ちょっと豆知識みたいなものも入れるなど、工夫しています。授業を作るのも大変ですが、先輩や上司の仕事も伺ったりしながら自分がやるべきことをやったりと、先に先にと行動していかないと社会で通用しないのかなと思いますし、そういう部分は慣れていないので難しいです」と話し、この教育実習を通して様々な経験をしているようだ。
母校に来るのは卒業以来とのことですが、当時と比べてグラウンドやクラブハウスなどの環境もだいぶ変わったかと思います。 そうですね。グラウンドも変わって、筋トレ器具とかもすごいですね。監督やスタッフが選手のことを最優先に考えてくれているのは、僕たちが卒業してから年々力をつけていることにも繋がっているのかなと思うので、そういうところは山田らしく、常に成長する部分なのかなと感じました。
逆に、ここは変わっていないなと思うところはありましたか? 試合前に声を出すこととか、練習の時から「移動を早く!」とか。そういう基礎的な部分は全然変わっていませんでした。良い意味で、すごく継続ができているのかなと思いました。
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大学サッカーと高校サッカーとの違いはどんなところでしょうか? 戦術的なところがすごく出てきて、自分たちが何をするかということも大事ですが、相手がこうだから俺らはこうする、というのは高校の時より明確になりました。フィジカルとスピードも最初は全然違うなと思ったんですけど、それを補うためにどういう戦術をとるのか、ということが一番違うのかなと思いました。
大学ではどのように意識して自分を律してきましたか? 大学に行くと時間もお金も増えて遊べるようになりますが、やる時はちゃんとやる、遊ぶ時は遊ぶ、勉強する時は勉強する、というバランスが大事かなと思います。ダラダラ過ごすこともできますが、それが必要かと言ったら必要ではないので。自分の将来のために時間を割けば、スタートで他の人より一歩でも前に出られるということを考えて、じゃあ今俺がするべきことは何なのかな?と思った時に、サッカーの勉強をしたり、本を読んで他の人の考え方を学んでみたり、どうやって人に響かせられるのか、人を動かすことができるのか、ということを考えてやってきました。
それに気付いたのはいつですか? 元々、そういうことを意識してやろうと思ったことはあまりなくて。山田ですごく勉強をしてきたかと言ったらそうではなくて、サッカーしかしてこなかったんですけど、それはその時サッカーをしたかったからしていただけでした。今は指導者を目指しているので、指導者としてのスキルを磨くために何が必要なのかなと考えた時に、勉強することも大事だし、サッカーの実力を上げることも大切だし、話す言葉や、人に響かせることを言うということが必要だなと考えて、やりたいことのために少し勉強しただけです。高校生の時はサッカーの実力を上げるために色々考えましたけど、それが指導者になるという目的に変わった時に、人間としてのレベルも一緒に上がったのかなと思います。
いつから指導者になりたいと考えていたのでしょうか? 中学生の時からです。青森山田中に来た時に、「プロになるのは無理だな、俺のレベルだったらこのぐらいが限界だな」と思ったんです。でも、親がここまで送り出してくれたので、頑張らないといけない。じゃあ、どうやって頑張るのか?自分は技術もないし、足も体格もそんなにすごいわけではない。そう考えた時に、頭を使わないといけないと思いました。頭を使って考え、(自分ができないことは)人に頼る。センターバックとして自分の所にボールが来ないようにするにはどうしたらいいのか?それならサイドバックにお願いする、というように。こういう考え方ができる選手をもっと育てれば、もっともっと上に行けるんじゃないか、手助けになるんじゃないかなと思ったんです。そうなってくると、訴えかけることも大事だし、やらせるだけじゃなくて考えてもらわないといけないし、(自分自身が)器のある人間じゃないと言うことを聞いてもらえないなと思ったんです。どういう人間が人に影響を与えられるのかというのを、(青森山田の)黒田監督、正木コーチや千葉コーチ、上田監督とか色々なスタッフがどういうことを言っているのか、どういう態度で接しているのかというのを常々近くで見ていてすごく意識はしました。
青森山田で過ごした6年間で得たもの、今も役に立っていることは何ですか? 山田のサッカーは、どれだけ内容が悪くても、試合の流れが悪くても勝つじゃないですか。みんなが理解して、勝つためにやるというその目的をしっかりととらえて、全員がそれに対して何をしなければいけないかというのを、ここの集団はサッカーを通して考えられると思うんですよ。自分のやりたいことだけをやるのではなく、何をしないといけないのかということを僕は強く考えていたので、自分が指導者になった時には何をしないといけないのか、というのに繋がったかなと思います。
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(キャプテンマークを巻いているのが中村選手。二冠メンバーと一緒にピッチに立っていた。)
母校が二冠を果たした時は、どのように感じましたか? 素直に嬉しかったです。すごいなと思いましたし、僕らと何が違ったんだろう?とは思いました。選手自体のレベルも上がっているということもそうですし、選手権で1~3回戦負けというのが続いていた中で、マンネリ化していたのに対してスタッフたちが改善を入れたのかなとも思いました。変えさせるきっかけを監督や正木さんたちが常々与えているんだな、というのは思いましたね。
後輩たちに伝えたいことはありますか? 今やっていることが身になるということです。苦しくても、どれだけ自分の中で意味がないなと思うことでも、意味があったことに後から気付くし、もしそれに気付かなかったとしても、やっぱりそれはどこかで力になっている。短い時間の中で、全力でどんなことも弱音を吐かずにやってもらいたいなと思っています。
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