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大学サッカー通信

第31回 大学サッカー通信 ~波塚勇平(青森山田高校→日本体育大学4年)・三國スティビアエブス(青森山田高校→順天堂大学3年)

2019年11月22日
第31回 波塚勇平(青森山田高校→日本体育大学4年)・三國スティビアエブス(青森山田高校→順天堂大学3年)

取材日:2019年10月14日(月)
青森山田高校



 この日高円宮杯プレミアリーグEAST第15節が行われた青森山田高校グラウンドで、懐かしい顔に再会した。青森山田高校を卒業し、大学4年生になった波塚勇平と大学3年生の三國スティビアエブス。教育実習のため母校に戻ってきていた二人に、今の思いを聞いた。



波塚 勇平 (青森山田高校→日本体育大学4年)
なみづか ゆうへい

東京都出身。Forza’02から青森山田高校の門を叩き、1年時には青森県少年男子チームの一員として国体に出場。怪我で出遅れたものの、3年時の途中からトップチームで出場機会を得て、センターバックとして守備を統率。また空中戦での強さを武器に、試合終盤の膠着した状況では前線で攻撃の切り札ともなった。高円宮杯U-18プレミアリーグEASTでは当時としては過去最高の2位、第94回全国高校サッカー選手権大会では3位入賞を果たす。

青森ゴールVOL.36、38に掲載。


 3年間の思い出が詰まった懐かしいグラウンドを見つめ、「練習一つひとつの意識の高さ、緊張感を思い出しました」と話した波塚。2016年3月に青森山田高校を卒業して以来、母校に帰ってきたのは今回が初めてだという。
 教育実習のため現在寝泊まりしているというサッカー部の寮は新しくなり、人工芝も今夏貼り替えられて当時とは異なる。だが思い出深いグラウンドは今も変わることなく、頂点を目指して日々ひたむきに取り組む選手と指導者たちの情熱に満ちている。



 大学サッカーと高校サッカーの違いは果たしてどのような所だろうか。波塚はこう話す。
「大学によっても違うと思いますが、大学生は基本、練習中はこんなにうるさくないです(笑)。
高校生のモチベーションの高さや、切り替えや球際などの激しさはやっぱり大学生とは違うなと思いました。
大学はプレーの質が高いですし、大学に入ってから新しく知ったことも多い。動き出す時の体の向きだったり、タイミングだったり、ボールを呼び込む前の動作だったりという面で、もっとサッカーを深く知りました。こういうことだったんだな、こうやれば良かったな、というのは思いましたね」



「自分は2年半くらい、大学でサッカーができなかったんです」
 青森山田高校がベスト4進出を果たした第94回全国高校選手権で、波塚は1回戦、3回戦で途中出場した。
「怪我をしていて、選手権ではスタメンから外れました。グロインペインという股関節痛が1年以上ずっと続いて、最初はトップチームでやっていたのですが、復帰してまた肉離れして8ヶ月以上プレーできなくて、Bチームからのスタートになりました」
 度重なる怪我だけではない。3年目に監督が交代し、それに伴ってチーム内にも大きな変化があり、波塚自身戸惑うこともあったという。そのうえ、日体大サッカー部は300人超の部員を抱える大所帯。関東大学サッカー2部リーグを戦うトップチームに入れるのはわずか一握りだ。
 そのような状況にあって、次第にサッカーから心が離れていく者もいるだろう。しかし波塚は違った。自分が置かれた環境の中で精一杯取り組み、インディペンデンスリーグを戦うU-22Cチームではキャプテンも務めた。
「辞めようと思ったことがないんです。サッカーが好きですから」



「高校で一番色々なことを学んで成長したなと思います。特に挨拶は徹底していたので、そういった人として当たり前のことができるようになったのは、高校で学んだからだと思います。就活で、『(今まで)何を頑張りましたか?』とか、人前で話して自己PRをする機会がよくあるじゃないですか。そういう時にはやっぱり、高校時代に青森山田でこれだけ頑張ってきた、というのが一番先に出てきますね」



 既に就職を決めているという波塚。「(就職先の企業は)とても面白い所です。やりがいがありそうで楽しみです」と、その目はこれから挑んでいく新たな世界への期待に輝いている。
「残りの大学生活は、社会人になる準備期間だと思っています。就職先は、自分の希望で自由にインターンに入れるんです。社会人になるということで、アマチュアからプロじゃないですけど、子供から大人になるので、空いている時間でその準備をできるかぎりしていきたいですね」
 そして将来はどんな大人になりたいかと尋ねると、少し考えた後、こう答えた。
「自分に会ってくれた人に、会って良かったなと思ってもらえるような人になりたい」

 これまで怪我と戦いながらも真摯にサッカーと向き合い続けた波塚勇平。これからは一人の社会人として奮闘しながら、目指す未来に向かって着実に歩みを進めていくことだろう。







三國スティビアエブス (青森山田高校→順天堂大学3年)
東京都出身。青森山田中では2年時に全国中学校サッカー大会初優勝を経験。青森山田高校3年時には高円宮杯U-18プレミアリーグチャンピオンシップと全国高校サッカー選手権大会で2冠を達成した。2017年、日本高校選抜欧州遠征メンバーに選出。

青森ゴールVOL.38、40、44に掲載。
今年4月時点のインタビューはこちら <大学サッカー通信 第26回>
http://aomori-goal.com/column/?sc=190619_205253&ct=0002


 現在、順天堂大学3年生の三國スティビアエブス。母校で教育実習を行うと決めたのは、「久々にこっちに戻ってきて、スタッフに会いたかったというのが一番の理由です」。
 後輩たちが戦うプレミアリーグは関東圏での試合も多いため、応援に駆けつけることもあるという。しかし試合後チームは早々に青森に帰らなければならないため、スタッフとの会話の機会はごくわずかな時間に限られる。
「ちょくちょくは会うんですが、スタッフが急いで帰るというのもあって、2~3分しか会話できなくて。それで、こっちに帰ってきて食事でもしながらゆっくり話したいなと。実習が始まる二日前くらいから前入りして、その間に正木さん(正木昌宣ヘッドコーチ)や上田さん(青森山田中・上田大貴監督)と、サッカーの話やプライベートの話をしました」

 関東大学サッカー1部リーグで戦う強豪・順天堂大学のトップチームで奮闘する三國の毎日は、「正直、自由な時間はないです。学校に行って夕方5時から部活をやって、その後自主練もするので、家に帰ったら10時とか11時になってしまう」。そんな日々を送る中、第二の故郷ともいえる青森で恩師たちと膝を突き合わせて語り合う時間を持てたことは、三國にとって良いリフレッシュになったようだ。



 青森山田中学・高校で過ごした日々の中で教え込まれ、身に付いたこと。それは波塚と同じく、三國にとっても大切なこととして今も活かされている。
「ここにいた時のように至近距離で、大声で『こんにちは‼』と言ったりはしていないですけど(笑)、今も挨拶はちゃんとしています。目上の人だったり、相手チームの監督やコーチが来ると必ず挨拶をしに行ったりとか。そういったことは自然と身に付いているのか、(卒業して)3年たっても体はそのまま覚えていて、自然と動く感じになります。そこは確かに他の人に比べて、良いことなのかなとは思います」

 そんな彼が青森山田時代からずっと思い描いてきた、プロサッカー選手になるという夢。目指す未来に向かって、三國は揺らぐことなくひたむきに走り続ける。



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