大学サッカー通信
第52回 大学サッカー通信 〜山本大(青森山田高校→札幌大学)〜
2022年03月09日
第52回 山本大(青森山田高校→札幌大学)
やまもとだい
青森県青森市出身。青森FCから青森山田高校へ進学。高校時代はサードチームに所属し、県ユースリーグ1部で戦った。
取材・写真・文:安藤 隆人
取材日:2022年3月1日〜5日
第36回デンソーカップチャレンジサッカー
北海道選抜にはGK田中と同じく下のカテゴリーから這い上がっていた青森山田出身の選手がいる。北信越選抜戦で3バックの右でプレーをしたCB山本大は空中戦の強さとカバーリングのうまさ、積極的な持ち出しからのビルドアップで存在感を示した。
青森市出身の彼は田中同様に高校から青森山田に進学。だが、彼も高3の時はサードチームの一員として青森県リーグ1部を戦い、プリンスリーグ東北には1試合にベンチ入りをするが、出場のチャンスは訪れなかった。
「インターハイ、プレミアリーグ、選手権、どれも僕にとっては縁がない輝かしい舞台だと思っていました。選手権は3年間ずっとスタンドでしたし、本当に悔しかった」。
だが、山本も決して折れることはなかった。トップチームの『輝かしい舞台』を目指して努力を重ねたことで、高2の終わりの金沢遠征でセカンドチームの一員としてプレーをすると、札幌大の河端和哉監督の目に留まった。
高校卒業後に札幌大に進学をすると、空中戦とビルドアップの質、守備の安定感が増したことで今回のデンチャレメンバーにも選出された。出番は北信越選抜戦のみだったが、青森山田時代にトップチームだった選手が揃う相手に5-0の完勝。
「みんな僕より上のカテゴリーでやっていた選手。今まで選抜なんて入ったことがなかったし、高校時代は輝く舞台に立てなかったからこそ、札幌大に来たことが間違いではなかったことを証明するためにも今日は絶対に勝ちたかった」。
試合後、こう口にしたように彼にとってはただの1試合ではなかった。
「僕の中では青森山田のサードチームから大学に行ってデンチャレに出場することは、そんなに驚くことではないと思っているんです。僕はずっとやれる自信があったんです。たとえサードチームであっても上を目指し続けたし、高校で出来なかった分、大学で絶対に巻き返すという反骨心はずっと持っていました。今はこの差があるけど、絶対に埋めてやると。自信がなかったらここにはいないです」。
自信をさらに深めた濃密な90分間。実は高校時代、スタッフから「菊池流帆(ヴィッセル神戸)のようになれ」こう言われたことを明かしてくれた。菊池は青森山田高時代にCチームから高3でレギュラーを掴み、大阪体育大を経て神戸で活躍。下から這い上がっていたモデルケースの1つだった。山本はその高い身体能力を評価され、スタッフから期待をされていた。
「高校の3年間ではそうなれなかったからこそ、大学の4年間で菊池選手のように這い上がってプロで活躍をしたい。現状に満足せずにやり続けます」。
偉大な先輩が歩んだ道を自らも歩くべく。北の大地でさらなるレベルアップを心に誓って山本は大きく羽ばたこうとしている。