現在発売中の『ＡＯＭＯＲＩ ＧＯＡＬ ｖｏｌ．３８』。
表紙及び巻頭特集は、青森県代表として第９４回全国高校サッカー選手権大会に出場し、堂々の全国３位となった青森山田高校。監督、コーチ、そして選手たちに大会についてお聞きすると共に、３年生には青森山田で過ごした日々を改めて振り返ってもらいました。
ＨＰでは数回に分けて、誌面のスペースの都合上掲載しきれなかった、選手たちのインタビューをお届けしていきます。『ＡＯＭＯＲＩ ＧＯＡＬ ｖｏｌ．３８』と共に、どうぞご覧下さい。

Ｎｏ．６ ＤＦ 北城 俊幸 （→ 慶応義塾大学）

― 選手権を振り返って
「プリンスリーグやプレミアリーグなど、優勝まであと一歩というところでなかなか結果が出ずにきたので、選手権で優勝して結果で恩返しをしたいと思っていましたが、優勝できなくて本当に悔しかったです。でも、やらなかった後悔はないです。仲間だったり、指導者や親にも支えられながらやってきたので、そういった人たちにしっかり感謝したいなと思います」

― 初戦では硬さが見られました。
「１失点目で改善出来れば良かったんですけど２失点してしまって、自分の中でも２失点はまずいと試合中にも思いました。初戦で簡単に敗れて終わるわけにはいかなかったので、ただただ、今勝つために何が必要かを考えました。真っ先にみんなを集めて、『プレミアリーグでも追いかけるゲームをやってきて、何度も同点に追いついたり逆転してきた。自分たちを信じてやれば大丈夫だ』と言いました。自分も落ち着いてはいられなかったですけど、自分自身にも言い聞かせるようにして信じてやった結果が、ああいった形に繋がって良かったです」

― ３回戦の桐光学園戦はどうでしたか？
「桐光学園も、本当に強かったです。そう簡単には点を取らせてくれないような相手だったので、どうやったら点を取れるだろうと考えていました。でも、これ以上失点してもいけないと思いながらやっている中でＰＫを与えてしまって。多分、あれを決められていたら、流れ的にもスコア的にも厳しかったと思うんですけど、相手がＰＫを外した時、何かあるんじゃないかなと思っていました。
後半は応援団側のサイドでやっていたこともあって、自分の中では応援団がすごく印象に残っています。正直、このまま終わってしまうんじゃないかな？って自分でも思ってしまったんですけど、応援団の『まだあるぞ！まだあるぞ！』とか、ベンチの監督や正木コーチからの『まだ４分あるぞ！』という声を聞いて、力が奮い立ちました。それは自分だけじゃなくて、みんなも感じたと思うんですけど、そういう力が揃った時に、ああいったことが起きるのかなと思いました。あの試合は、応援してくれているみんなのおかげで勝てたのかなと思います」

― 準決勝では、試合開始早々に怪我をするというアクシデントがありました。
「あの怪我によって、パフォーマンスが下がったということは自分の中ではなかったので、あまり痛みも感じずに、試合に集中してやれました。逆に、あそこでピッチに戻らなかったら一生後悔していたと思うので、最後までやりきって良かったと思います」

― 逆転劇を重ねてきたチームにとって、準決勝でのあの敗戦は、より悔しかったのでは？
「あの時間帯の怖さは自分たちが一番知っていたと思うんですけど、今まで自分たちが起こしてきたようなことを起こされてしまったというのは、本当はあってはいけないことだと思います。後半に自分たちの流れの時間帯の時になかなか決められず、惜しいシュートもありながら、でも決めきれないと、最後ああいったことが起こるというか。選手権の怖さを全員が持っていても優勝できないような大会なので、それを忘れずに、後輩たちにはまた来年頑張って欲しいなと思います」

― キャプテンとして１年間、このチームを率いて。
「インターハイが一番苦しかったと思います。日本一を目指そうと言ってやってきて、このチーム最初の全国大会の初戦で敗れてしまうなんて、想像もしていませんでした。なかなか足も動かずに、自分たちの力を出し切れずにあっという間に試合が終わってしまいました。自信を失ってしまって、この先どうなるんだろうというような状況で、心身ともにすごく苦しかったのがインターハイでした」

－ 大学での意気込みを聞かせてください。
「松木さん(松木駿之介／新２年生)がスタメンで出たり新人賞を獲ったのを見ているので、自分の中ではそれが当たり前というぐらいの感覚になっています。そう簡単ではないと思いますけど、１年目から先輩に追いつき、追い越せるように頑張りたいです」

マネージャー　今 優介　（→青森大学）

－ マネージャーの仕事で一番大変だったことは？
「やっぱり洗濯が一番きつかったです。選手の洗濯物でこれ以上入らないくらいパンパンになったランドリーバックを持って、ランドリーまで行って洗濯をして、乾燥できる時間があったら乾燥します。ホテルにランドリーがあればそのホテル内でやりますが、なければ近くのコインランドリーを探して、歩いて行くこともあります。その持ち運びも大変なんですが、今年は２年生がサポートメンバーに多くいて、先輩に気を遣ってくれたのかもしれないですけど、手伝ってくれたので少し楽にはなりました。でも洗濯に３～４時間かかる上に、次の日の準備もありますし、思っていた以上に忙しかったですね」

－ 試合以外で印象的に残っている思い出は？
「トレーナーとして帯同してくれた若松佑弥さん（青森山田中・高出身。第８８回大会で準優勝した当時のマネージャー）が、選手たちと楽しそうにコミュニケーションをとっていたことです。
佑弥さんには、高校時代にやっていた仕事の他に、大学での経験や指導者としての経験もふまえた上で、すごくためになることを色々教えてもらいました。例えばマネージャーの仕事で言えば、ボトルの配置だけじゃなくてその中身についてだったり、そういう細かいところまで教えてもらったので。マネージャーとしてだけでなくトレーナーとしても色々話をしてくれたので、『じゃあもっとこうやった方がいいのかな？』とか、より良い案が出てきたりして、自分にとってすごく勉強になりました」