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高円宮杯プレミアリーグ2017開幕前記者会見・黒田剛監督コメント全文
2017年02月24日
2017年度で7年目を迎える高円宮杯プレミアリーグ。4月8日の開幕戦を前に、東京のJFAハウス3階において、プレミアリーグ開幕前記者会見が行われた。壇上者は林義規・日本サッカー協会競技会委員会・委員長、イースト王者で、チャンピオンシップ覇者の青森山田・黒田剛監督、ウェスト王者のサンフレッチェ広島ユースの沢田謙太郎監督。そして、今年からプレミアリーグ参入を果たした浦和レッズユースの大槻毅監督、阪南大高・濱田豪監督、米子北・中村真吾監督、アビスパ福岡U-18・小倉裕介監督の7名。
黒田監督は今年のプレミアリーグに向けての抱負と、青森の現状について語った。
以下、会見全文。
「昨年は運良く2冠を達成することができました。ですが、これは22年掛かったことなので、来年もまたというわけにはいきません。次はあと22年待ってもらわないといけません。だいたい優勝したチームは、次は降格争いをするというジンクスがありますので、そこは緊張感をしっかりと持ちながら、日々の成長に力を入れたいと思います」
「選手権優勝の影響もあって、まだ新チームを見ることができていません。それくらい忙しい日々を送らせてもらっている。明日は大きな祝賀会がありまして、そこからやっとチームを本格的に見ることができる日々が来るのかなと思うくらい、忙しい日々を送っております。出遅れているからといって降格争いになってしまうといけないのですが、こんな経験はなかなか味わえないことなので、襟を正してやりたいと思っています。今年はお利口さんばかりで、戦えるパワーがあるような選手はいませんが、そういうチームをどれくらいやんちゃに出来るかが楽しみではあります。あと、日本高校選抜の方も率いることになりまして、海外遠征がある関係で、開幕から2、3試合は不在になりますので、その辺を含めて計算できるチームでスタートが切れるようにしたいです。良いスタートダッシュが出来るようにやっていきたいと思います。今年1年、どうぞよろしくお願い申し上げます」
先ほど、今年のチームは貧弱なチームとおっしゃいましたが、どのような状況なのでしょうか
「分かりやすいのが、去年、優勝したチームは結構やんちゃな子が多くて、個人個人の人間としてのパワーがあって、自己主張が強いチームでまとめるのにかなり一苦労しました。でも、その分、勝利へのこだわりがあり、バラバラだけどもパワーがあった。なので我々は、指導者としてそれをまとめるという作業、方向を定めるという作業の中で、昨年は前への推進力がチームとしてありました」
「今年は割とお利口さんで、大人しい選手が多い。なので、前に行く推進力が足りない。自己主張であったり、負けん気であったり、プレーではなんとなくやっているけど、声に出して言えないとか、いろんなことを要求できない。去年と比べると、極端に大人しくて、お利口さんな集団だと思います。指導者として、彼らの下に回って底上げをして行くべきなのか、上に立って下を引き上げて行くべきなのか。この作業的には結構大変だと思っています。そういう意味で、ちょっと先が見えない不透明さが、自分の中で危機感としてあります」
「でも、いま自分が見ていない時期に、彼らがこれを悟り、上手く行動としてオン・ザ・ピッチでも、オフ・ザ・ピッチでも日々を振り返りながら、良いスタートが切れる切磋琢磨の1ヶ月を送ってくれれば変わるかもしれない。そこに期待をしながら、ミーティングを通じて要求をしていきたい。雪が溶けた後に彼らがどう変わっているのかを期待したいし、楽しみにしています」
今年のチームは2冠達成後のプレッシャーがあると思います。彼らの特徴をどう良い方向にもっていこうと考えていますか?
「チームとしては良い成績を残したけれども、去年のチームは過去のチームとして捉えないといけない。その現実を見ることと、昨年レギュラーで出た2人の選手、サブの選手、1年間でトップチームに関わった選手は、昨年実践してきたことを理解していると思うので、それを今年からトップに上がって来た選手に伝えていく義務があると思っています。それが今の監督、コーチに言われなくても、自分たちの口から細かく言って、実践する日々を積み重ねて行くことが大事。それは去年までトップチームでやってきた選手たちの責任として求めて行きたい。それがふたを開けたときに伝わっていないことがないように、声を大にして伝え、ディスカッションを通じて、どんどん落とし込んでいけるスタートをしたいと思っています。これも雪が溶けてみないと分からない状況なのですが」
高校サッカーにおいて、中高一貫教育で6年間やってくるチームがだんだん強くなってくると思います。その点はどうお考えでしょうか?
「そうですね、幸い中学も5年で4回全中優勝をしています。確かに中体連のチームとクラブチームとの力の差はありますが、かなり高校を見据えながら入学してくる選手が多いと思う。高校やクラブでも、だいたい秋ぐらいに進路が決まる選手が出てくる中、小学校卒業ギリギリまで入学が決まらない子供たちが、いろんな高校の活躍を見て、南は沖縄、九州地方からも希望して、中学の門を叩いてくる。いろんな意味で垣根を越えて、全国のピッチに立ちたいと思ってくれる子供たちがいる」
「そして、高校生と切磋琢磨をして、いい子たちは出来るだけ高校のステージを経験させてあげたい。その中で伸びる子は、スタッフに言われなくても、その環境を与えるだけで、何かを感じ、自分の中で改善をして行く能力を持っている。そう言う子たちに良い形で刺激を与えながら、最終的には大学に行って大いに活躍できる選手だったり、プロになって活躍できる選手を、6年あれば何とか育てられると思います。特に青森という、サッカー不毛の地で、地元で生まれ育った選手たちを6年かけて育てあげたいという想いがあります。今年は高橋壱晟がジェフ千葉に入って、今、開幕スタメンで出るか出ないかで期待をされていると聞きます。中高一貫教育の中で、柴崎岳を始め、4人のJリーガーが誕生しています(柴崎岳、櫛引政敏、差波優人、高橋壱晟)。高橋は青森市出身です」
「そういうことが少しずつ実現しつつある環境で、サッカー不毛の地ではあるのですが、ここからサッカーの最先端を発信していけるように、ステータスを大きくさせていく。サッカー先進県として、いろんなものを発信できるように、チャレンジを続けていきたいと思っているので、今は中高一貫教育がプラスに働いていると思います」
以上
取材・文 安藤隆人