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大学サッカー通信 ~ 石井光(青森山田高校→中央大学4年)~

2017年05月31日
取材・文 本田悠喜(スポーツライター)

第2回 石井光(青森山田高校→中央大学4年 No.11 )
 
いしい ひかる
秋田県出身。FCあきた(秋田県)から青森山田高校サッカー部に入部。3年時には、トップチームで背番号「10」を背負い、持ち前の技術と発想力でチームを牽引した。
青森ゴールVol.20(在庫なしのため電子版のみの販売)、Vol.25、Vol.26にインタビュー掲載。
 
 
 
取材日「2017年5月28日(日)/JR東日本カップ2017 第91回関東大学サッカーリーグ2部 前期第7節 中央大学 対 東海大学」
開幕から負けなしの中央大学。勢いに乗るチームで3得点(得点ランキング6位)と、自身も好調を維持する石井。この試合でも後半、サイドからのクロスに詰めて決定機を迎えるなど、得点の気配を感じさせた。
 青森山田の中心選手として活躍した彼が語る、大学サッカーと高校サッカーの決定的な「違い」とは? 後輩たちに送りたいアドバイスとは? 早くも夏の兆しが見える中央大学のサッカー場で、心身ともにたくましく成長した石井に話を聞いた。




元青森山田の背番号「10」に聞く大学サッカー


「都会だなとは思いますが、環境としてはあまり変わりません」
 
 東北に生まれ、東北で育った石井。「東京での生活に苦労は・・・」という思いは存外、彼にとっては無用なものだったようだ。しっかりサッカーに集中できている様子を確認し、次の質問をぶつける。
 
————高校サッカーと大学サッカー、単純な比較はできませんが、違いを挙げるとすればどこになるでしょうか
 
 「そうですね・・・。やっぱりフィジカルの部分、そこは圧倒的に違うと感じました。最近になってようやく、少しは戦えるようになってきましたね」
 
————最近ということは
 
 「正直、4年生になってからですね。まあ試合に出られていなかったというのもあるんですが、トップチームでもフィジカルでやれるなと感じたのはこの頃です」
 
————そこまで違いましたか
 
 「はい、自分にとってはそうでした。戦えてからこその、ボールを扱う技術だと思いました」
 
 高校時代、チームでも屈指の技術を駆使して攻撃を司った石井の能力も、大学サッカーでは、その力を発揮する前に潰された。石井もそれまで、小さな身体で生きていく術を、ピッチ上に確かに見出していた。しかし、カテゴリーが上がると、その術も一段階上に引き上げなければ通用しなくなった。
 このことを痛感してから改善を志し、日々「意識して取り組んできた」結果、今季これまで3得点の得点ランキング6位。攻撃面で持ち前の技術を発揮するだけではなく、守備面でも「チームのために球際で戦って貢献できるようになった」という。
 “球際で戦う”といえば、今や青森山田を表す形容詞と言えるだろう。昨年、U-18年代史上初の2冠を達成したチームは、“球際で戦える”選手が非常に多かった。技巧派であろうとなかろうと、全員がアグレッシブにボールを追うような、そんなチームだった。
 その意識は青森山田中学にも浸透しており、今や青森山田の伝統になりつつある。しかしそんな青森山田で、石井は常に「球際で戦えない」と言われ続けていたという。
 
 「高校時代にはよく言われていました。このマイナス部分が、大学サッカーではもろに出てしまって」
 
————ここまで苦労しましたね
 
 「はい、そうですね。上手いだけでは試合に出ても何もできません。いかにチームのために戦うことができるのか。だから今、改めて高校時代の教えを実感しています」





卒業から4年、今振り返る青森山田での日々


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————青森山田といえば、高校時代の経験が今に生きていますか
 
 「そうですね。やっぱりあれだけサッカーに集中できる環境を作っていただいたというのには、感謝しかありません。すべてにおいて成長できました」
 
————その分、本当にきつい3年間だったとも思います
 
 「きついとわかっていて入学したので。もっとあそこでやりたかったなと今も思います。あとは単純に、サッカーが楽しかったんです。高校3年生の時に、インターハイを戦っている時は、本当に心の底からサッカーが楽しくて」
 
————そうなんですか
 
 「はい。日本一になるという気持ちが湧いてきて、自分も熱くなっていました。人生で一番サッカーを楽しめた時間でした」
 
————充実していたんですね
 
 「サッカー以外にも、私生活の面でしっかりと指導していただきました。大学ではいろんな誘惑もあるので、その点でも役立っています」
 
————黒田監督も大学では「自制心が大事」だとおっしゃっていました

 「結局、良い環境を与えられてもやるのは自分です。良い環境があっても、できない人もいると思うんです。大学となるとその環境を作ってくれる人もいない、自分しかいません」
 
————自制心、ですね
 
 「はい。自分は妥協せず、これからもサッカーに打ち込んでいきたいと思います」



後輩へのメッセージと卒業後に向けて


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————「これからも」ということは、今後もサッカーを続けていくということですか
 
 「はい、自分はサッカーで生きていきたいという気持ちがあるので」
 
————就職活動は
 
 「自分はやっていません」
 
————では、卒業に向けてやっていることはありますか
 
 「リーグ戦でまず結果を出すこと。アピールするチャンスは今年しかありませんから。怪我でサッカー人生を終わらせないよう気をつけつつ、やっていきたいなと思います。各チームに練習参加させていただくのは、前期リーグが終わった後ぐらいにと考えています」
 
————なるほど。では最後に、青森山田の後輩に向けて、先輩として、大学生として、伝えておきたいことはありますか
 
 「サッカーを辞めたいと思うこと、実際に辞めてしまうことはあると思います。ただ、辞めた後に、もっとやっておけば良かったと感じると思うんです。理不尽なこともあるとは思いますけど、妥協せずにやりきることで、絶対に報われる瞬間がやってくるので、高校での3年間を大事にして欲しいですね」
 
————卒業生だからこその説得力があります。今日は試合終わりにありがとうございました。
 
 「はい、ありがとうございました」
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第1回の記事はこちらです。

■大学サッカー通信~中井建太(青森山田高校→慶應義塾大学4年)~
http://www.aomori-goal.com/info/?sc=170515_185733

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