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「目標は1級審判員」田中真輝
2017年09月28日
田中 真輝 (たなか まき)
1996年9月22日生まれ
千葉学園高校卒
「審判やっていてすごく良かったなと思うのは、北は北海道、南は沖縄と、全国のいろいろなところ回って、いろいろな方々に出会うことができるところですね」
田中真輝さん。まだ珍しい女性の審判だ。田中さんがサッカーに初めて触れたのは、小学3年生の時。親がサッカーの経験者で、姉と一緒に久慈市のクラブチームに参加したことをきっかけだった。しかし中学校ではサッカー部に入れず、そのままクラブチームでサッカーを続け、中学を卒業後、一念発起し八戸市の強豪千葉学園高校に進学した。
彼女自身、小・中学校と男子に混じってサッカーをしてきたが、男子の中に1人で飛び込むのは想像以上に難しい。なかなか試合に出る機会もなく、ボールを蹴っていたが、「自分の技術に自信がなかった」という。
全国大会常連の千葉学園に入った当初は、周囲との実力の差が激しく、1年生の時はベンチが定位置。同級生や先輩たちのプレーを見るだけという毎日が続いた。
それでも、なんとか試合に出たかった田中さんは、必死に練習をこなし、2年生になると、少しずつ試合に出られるようになった。
彼女の審判としての人生が始まったのは千葉学園在籍時。「4級審判資格はルールを覚える目的も兼ねて、千葉学園サッカー部の全員で取得」したという。その後田中さんは、「せっかく4級の資格を取ったのだから」と審判の勉強を進め、そうした過程の中で、ルールや戦術を深く詳しく知ることができた。
「もっと楽しくサッカーができるのかな」、「今までより賢くサッカーをできるのかも」と思い始めると、いつの間にか審判という役割にのめり込むようになっていた。
田中さんは自身のインストラクターを務める漆畑成子さん(青森県十和田市出身、女子1級審判員)に、審判というものについて「親切に教えてもらった」という。目標に掲げるのは、サッカー女子1級審判員の小田千絵美さん。主審と副審でチームを組むこともあり、一緒に行動することが多く、とても勉強になるのだそうだ。
先輩たちと過ごす日々を経て、「審判は面白い!」と改めて思ったのだとか。
その他、高校時代の新堂監督とコーチの木村さんにもお世話になっている。
「木村さんはとても一生懸命な方で、なんでも全力でやるという方でした。悩んでいることを相談した時にもしっかりアドバイスをくれる方です」。
「新堂監督は面と向かって厳しく言う方でした。印象に残っているのが、『そのままだと絶対に審判の資格取得なんてできないよ。そのままじゃ使い物にならないぞ!』と言われたことです。私は『絶対に見返してやる』と思い、頑張れました。今なら分かるのですが、私の性格を理解した上で、気持ちに火をつけてくれたんですね。私はプレーヤーとして恩返しできませんでしたが、審判として、これから恩返ししていけたらと考えています」
去年から本格的に始まった田中さんの審判としての活動。高校女子サッカーのインターハイには審判団として現地に向かった。
「ずっと立ちかった舞台でした。高校時代には縁がなく、まさかこんな形でという感じです。プレーヤーではなく副審という立場ではありましたが」。
全国の舞台に立ち、純粋に感動した田中さんは同時に、トップレベルの審判たちが集まってくる場での経験を経て、「自分が思っている以上に周りのレベルが高くて、もっと私も頑張らないといけないなと思いました。これからもっと大きな舞台に出てみたいです」と刺激になった様子。
今は仙台に拠点を置いている田中さん。女子1級審判員の資格が取れるまで、地元には帰らないつもりだ。今後の目標は「1級審判員の資格が取り、インターハイ、選手権大会、なでしこリーグで主審をすること」。
田中さんはサッカーについて、「サッカーは観るのもプレーをするのも好きです。得点をとった時も、ディフェンスで相手からボールを奪った時も、そのどちらも楽しいんです」と笑顔で話してくれた。
話は飛んで先日、ドイツのブンデスリーガで初めて女性が主審を務めた。彼女の名はビビアナ・シュタインハウス。9月10日のヘルタベルリン対ブレーメン戦で見せたビビアナさんの堂々たるそのレフェリングは、新しい時代の幕開けを予感させた。
ビビアナさんのように、いつか大舞台で田中さんの姿が見られれば、と思う。