2種(高校生)
令和元年度全国高校総体サッカー大会 2回戦【青森山田高校 vs 大津高校】
2019年07月27日
令和元年度全国高校総体サッカー大会 2回戦【青森山田高校 vs 大津高校】
取材:安藤隆人
初戦で優勝候補の前橋育英との大一番を2−0で制したが、次なる相手も優勝候補の大津という、青森山田にとって厳しい戦いとなったインターハイ2回戦。
「プレミアEASTとプレミアWESTのトップ同士の戦いがここで実現した。タフな試合になることはわかっていた」
こう黒田剛監督が語ったように、青森山田は現在、プレミアEASTの首位を独走し、一方の大津もプレミアWESTで3位だが、首位と2位と勝ち点が同じで、実質トップに近い存在。「EASTの代表として絶対に負けられない」と黒田監督が強い気持ちを持って臨んだこの一戦には、苦い過去へのリベンジも含まれていた。
一昨年の宮城インターハイ。青森山田は初戦でいきなり東福岡と激突し、そこを突破しても2回戦が前橋育英という厳しいゾーンに入った。郷家友太、中村駿太、檀崎竜孔などタレントがいたチームは、東福岡に完勝を飾るが、次の前橋育英戦で敗戦を喫してしまった。
「あの時は東福岡戦で消耗をして、前橋育英戦でチーム力がガタッっと落ちてしまった。その話は選手たちにしたら、凄くいい状態で試合に入ってくれた」(黒田監督)
過去の教訓を後輩たちはしっかりと学び、立ち上がりから攻守において集中力の高いサッカーを見せた。前半は3バックを敷く大津が、後ろからビルドアップで組み立て、MF佐藤悠平、樋口堅大、濃野公人ら攻撃のタレントを生かしながら攻勢に出るが、この試合キレにキレていたアンカーの古宿理久、CB藤原優大を軸に、ゴールを隠す守備でチャンスを作らせない。
ウォーターブレイクを挟んだ以降は、1トップのキム・ヒョンウにボールが集まるようになり、松木玖生と武田英寿の2シャドーがボールを受けて、攻撃を組み立てられるようになった。25分に右サイドを突破したMF後藤健太の折り返しをキムが狙うが、これは相手GKのファインセーブにあった。27分にもキムの折り返しを受けた武田が、ターンから狙うが、これはDFのブロックに阻まれるなど、青森山田も決めきれないまま、試合は後半へ。
均衡が崩れない中、黒田監督はすぐに動いた。49分にキムに代えてFW田中翔太を投入。「キムの方がヘッドが強いので、立ち上がりは彼に力を発揮してもらって、後半にパワーがある田中を出すことは考えていた。田中はヘッドと球際も強いし、ゴール前に必ず顔が出せる選手」(黒田監督)と、前線で起点となってくれたキムから、ゴール前で決定的な勝負ができる田中を入れることで、勝負をかけにきた。
これがズバリ的中した。58分、DF神田悠成の左からのクロスを田中がヘッドで押し込んで、待望の先制弾をチームにもたらした。ここを勝負どころと見た黒田監督は、「1-0になってからも、相手に前がかりにさせないように選手を入れた」、61分に後藤に代えてMFタビナス・ポールを投入するなど、攻撃的な策に打って出た。
それに対し大津はロングボールとショートパスを駆使して、猛攻を仕掛けようとするが、受け身になることなく積極的な守備を最後までやりきった青森山田の牙城を崩すことができなかった。タイムアップの笛が鳴り響いた瞬間、青森山田の選手たちは歓喜の雄叫びをあげた。酷暑になっていたピッチで、彼らは最後まで勇猛果敢に戦い、厳しい2連戦をものにしたのだった。
「心は冷静に、身体は熱くを全員がやることができた。全員で攻撃と守備ができているからこそ勝つことができたと思う」(古宿)。
チームにとって会心の2連勝。だが、明日にはすぐに3回戦がやってくる。ここで敗れてしまったら、この2連勝の価値が落ちてしまうだけに、「すぐに気持ちを切り替えないといけない。ここで油断したら足元をすくわれるので、きちんといい状態で戦いたい」と黒田監督が語ったように、この戦うテンションを維持したまま、全員一丸となって次の北越戦に臨む。