ロシアワールドカップ開幕を間近に控えた6月10日、青森ゴール編集部は、サッカー教室で青森県を訪れた鹿島アントラーズの小笠原満男選手へのインタビューを敢行した。
今回は取材中、小笠原選手が語ってくれた言葉の中から、青森県人初のワールドカップ代表メンバーに選出された、柴崎岳選手へのコメントをお伝えする。
■柴崎選手がJリーグからスペインのチームに移籍して2シーズンを終え、ロシアワールドカップを戦う日本代表メンバーにも選出されました。小笠原選手から見て、柴崎選手の成長をどう感じていますか?
自分も1年間イタリアにいたので分かるんですが、日本からヨーロッパへ行ってサッカーをするのは簡単じゃありません。
サッカーが上手い、下手という要素だけではなく、現地の言葉を覚えてコミュニケーションを取って、チームに馴染む努力をしなきゃいけないからです。
日本では“柴崎岳”という選手を分かってもらえていても、向こうではただの日本人です。海外の環境、そして新しいチームの中で、一から自分の地位を築くのは簡単じゃありません。
でも、ヨーロッパに行って良かったんじゃないかなと思います。
青森県で飛びぬけた存在だった岳が、みんなに支えられて育てられて、鹿島に入ってまた成長してきた。
そうして築いてきたベースを1回壊して、向こうで自分の地位を新たに築くことは、移籍前のあいつにとっては必要なことだったんだと俺は思います。
本人も新鮮だったんじゃないかな。
スペインに行って最初は苦しんだこともあったと思いますが、それを乗り越えて、少しずつ活躍する時間は増えてきています。
ただ、岳の実力はあんなもんじゃないし、俺はまだまだできると思っています。
もっと試合に出て、もっと活躍してほしい。そうなる頃には、さらに良い選手になって、代表でも中心選手としてやっていけると思います。
■では、W杯で柴崎選手に期待することはありますか?
代表に選ばれて満足するようなやつじゃないので「試合に出てなんぼ、良いプレーをしてなんぼ」と思って、先を見据えていると思います。
自分としても、岳には試合に出てほしいし、活躍してほしいし、チームを勝利に導いてほしいと思う。
自分も日韓ワールドカップとドイツワールドカップの代表に選ばれて、試合に出ていましたが、やっぱり選手は試合に出られないと悔しいし、負ければ悔しいんです。
あいつには試合に出て、勝って、良い思いをして帰ってきてほしい。
そうして青森にも帰ってきたら、皆さんも嬉しいでしょう。岳にはそこを目指して頑張ってほしいですね。
まずは、今回のW杯で活躍して、代表における自分のポジションを確立してほしいです。
まだまだ出来る選手ですよ、あいつは。
2014年のブラジルワールドカップの閉幕から早4年。振り返ればこの4年間は、ザッケローニ元日本代表監督の後を継いだアギーレ氏の更迭を受け、日本代表監督に就任したハリルホジッチ氏が、大会開幕まで2ヶ月というところで解任されるなど、紆余曲折の期間であった。
この間、常に日本代表メンバー入りを当落線上で争っていた柴崎選手が、結果的に、青森県人初のワールドカップを経験することになった。
この後キックオフされる対パラグアイ戦への出場が濃厚な彼にとって、この一戦は、「ベンチから戦況を見守る控えメンバーになるか、スタメンとして活躍する主力メンバーになるか」を分かつ岐路になるかもしれない。
大会の開幕直前で急遽日本代表を指揮することになったがゆえに、西野朗日本代表監督が、本戦でどのようなメンバーを起用するのか、現状では全く予想がつかない。
ある程度の序列はあるのだろうが、もはや誰が起用されてもおかしくない状況だ。
柴崎選手にとっては運命の一戦と言ってもいいであろう、大会開幕前最後の公式テストマッチ。
あと数時間後に控えるこの好機を逃さず、その後ロシアの地で躍動することができれば、彼のキャリアはまた、一段のステップアップを果たすことになるだろう。
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