大学サッカー通信
第34回 大学サッカー通信 ~工藤聖人(青森山田高校→仙台大学3年)~
2019年12月12日
第34回 工藤 聖人(青森山田高校→仙台大学3年)
仙台大学 3年 DF
工藤 聖人取材日 2019年11月2日(土)
第44回東北地区大学サッカーリーグ 1部 第12節
八戸学院大学 vs 仙台大学
八戸学院大学美保野キャンパス人工芝グラウンド
くどう まさと
青森県黒石市出身
小学生の時は黒石FCに所属し、青森山田中学校に進学。2年時にレギュラーを掴み、その年に全国中学校サッカー大会で初優勝を果たす。青森山田高校に進むと、2年時は主にプリンスリーグに出場。3年時にはトップチームに入るものの主に控え選手としての立ち位置だった。それでも全国高校サッカー選手権に途中出場するなど、最後まで戦い抜いた。仙台大学に進学すると、なかなかトップに入ることができなかったが、3年時となる今季は、コンスタントに試合に出場。レギュラー定着を狙う。
2016年に、全国高校サッカー選手権大会と高円宮杯U-18チャンピオンシップを勝ち取り、史上初の2冠を勝ち取った青森山田高校。あれから3年。全国のサッカーファンに衝撃を与えた当時のメンバーは、それぞの道を歩み、今日もそれぞれの戦いに挑んでいる。工藤聖人もその一人だ。
現在仙台大学の3年生になった工藤はトップチームに在籍。青森山田高校時代と同様に、DFとして活躍している。仙台大学が所属する東北大学サッカーリーグ1部の2019年度最終戦を終えたばかりの工藤に、高校卒業から現在まで。そして未来への展望を聞いた。
「この試合はもちろん勝つことを目標にしつつ、インカレ(全日本大学サッカー選手権大会)に向けてボールを繋げるようにするという課題にも取り組んでいました。そのためにトレーニングを積んできているので、要所でそれは見せられたかなと思います。ただ失敗をする場面もあったので、改めて課題が分かったかなと」
リーグ最終戦が終わったばかりの工藤に試合を振り返ってもらうと、冷静な試合の分析がいの一番に飛び出した。また、「ただ自分のポジショニングをちゃんとしていれば、出し手は楽だっただろうなと思っています。修正したいです」と話すように、自らの課題も把握していた。試合の直後も興奮冷めやらぬままということはなく、あくまで俯瞰して結果を見つめる目線。DFとして必要不可欠の要素だ。
そんな工藤は、2年生までIリーグ(インディペンデンスリーグ/通称アイリーグ)が主な活躍の舞台だった。そのため今年のインカレに出場することになれば、初めての舞台への挑戦ということになる。
この夏に行われた総理大臣杯(全日本大学サッカートーナメント)を経験して、「より高いレベルを肌で感じた」という工藤は、大学の選手権であるインカレ出場に対して静かに情熱を燃やしているだろう。「去年出られていないから出たい、というモチベーションが強いです」と話す。
また、中学と高校で全国優勝を経験している分、大学でも全国制覇をという気持ちもあるようだ。そのために突破しなければならないのが、いわゆる“二回戦の壁”だという。仙台大学にとって鬼門になっている二回戦をどう突破するかが、この冬の不沈を握る。
人工芝に充実のトレーニング施設を備えた仙台大学で、虎視眈々と全国の栄冠を狙っている工藤だが、大学サッカー、もとい大学生特有の自由への誘惑については「そこに負けるかは自分次第なので。少なくともプロになりたいと思っている人にとっては、どんなスポーツをプレーしているかに限らず問題ないんじゃないかなと思います」と一言。全国から様々なモチベーションで選手が集まってくる分、個々の上達への意識と練習への取り組み方も様々。「大学生は本当に自主性を問われます」と、高校とは違った環境について語る。
そんな環境で工藤は今、自主的に左足の精度を鍛えているという。右利きの彼は主に右サイドを主戦場とするが、最近は左サイドでも自主的にプレーしているとか。「高校の時も左足の練習はやっていたんですけど、大学に入ってからは特に意識しています。最近はたまに左足の方が感覚がいい時もありますね」と新しい武器を身に着けつつあるようだ。
礼儀や言葉遣いといった人間性の部分は高校で身につけ、もう自然なものになっているというが、ピッチの中でも存在感を示していけるか。目前に迫る大学ラストイヤーに向けて、こう意気込みを話してくれた。
「まずはスタメンで出ること。そして来年は4年生が抜けた穴をしっかりと埋めることです。今年のチームには4年生が多いので、先輩たちが抜けたあとを心配する声があるんです。自分もそれは感じていて、だからこそ、そういった声を払拭するために、これまでに学んできたことを発揮しなければいけない1年になるなと思っています。全国大会に出るのはもちろん、そこで勝てるチームになりたいと思っています。そして、個人的にもプロを目指します」