大学サッカー通信
第37回 大学サッカー通信~原山海里(青森山田高校→東京学芸大学4年)
2020年01月13日
第37回 原山海里(青森山田高校→東京学芸大学2年)
はらやま かいり
埼玉県出身。クマガヤSC(埼玉県)から青森山田高校サッカー部に入部。代名詞は「ロングスロー」。飛距離40メートルオーバーというこの特異な武器は、青森山田高校3年時の選手権でも大きな話題となった。東京学芸大学4年時には、副キャプテンを務めた。
取材日 2019年10月19日(土)
@拓殖グラウンド
掲載号VOL.32、35、38号にインタビュー掲載。
現在行われている第98回全国高校サッカー選手権大会。今年も、青森山田高校が決勝の舞台に戻ってきた。ここ数年の青森山田高校の強さには目を見張るものがあるが、それは、これまでの先輩たちが築き上げてきた歴史の上に成り立っている。第94回全国高校サッカー選手権大会で3位となった青森山田高校。ロングスローで大会を沸かせたあの選手の今に迫る―
大学2年時の写真。
インタビュー記事はこちら→
http://aomori-goal.com/column/?sc=170625_160249&ct=0002―2年生の時のインタビューで、サッカーと勉強の両立が大変だとおっしゃっていました。 終わってみれば、3年生と4年生はあまり授業がなくて、楽だった部分はありましたが、高校と勉強の内容が違うので、1、2年生の時は正直大変な部分もありました。でも、そんなに勉強で苦労したなってことはなかったです。
―東京学芸大学はどのような大学ですか? 真面目な人が多いです。自分はずっとスポーツでやってきましたが、それとはまた全然違った人たちがいて、そういう面では違ったタイプの人達と生活ができるというのは面白いかなと思います。
―サッカー部についてはいかがですか? 応援がすごいんですよ。サッカーだけでずっとやってきた自分とは違って、勉強もやってサッカーもやってきた人たちもいます。全国大会や全国優勝を経験しているような人もいますし、県大会に出られないような人もいる中でやれるというのは、すごく面白いです。自分自身が教えることもありますし、気づかされることもあります。スタメンの中にも無名校出身の人がいます。今日、サイドバックをやっていた選手も無名校から来て試合に出られているわけですし、そういうのは面白いかなと思います。
部員は100人もいないので、1年生から即戦力になれる人もいますし、頑張り次第ではスタメンを狙えるようなチームです。監督も色々と試して、良い意味で全員が試合に出られるようにというか、チャンスを与えてくださるので、刺激のある良い大学だと思います。
―高校の時に思い描いていた大学サッカー生活と、実際入ってからのギャップはありましたか? 正直、ギャップはありました。高校、中学は指導されることが多かったですが、大学に入って、あまり言われない部分が多くて。聞きに行かないと指導もしてもらえないですし、サッカーの面では、自分の頭で考える部分はあったかなと思います。もっとサッカーを勉強しないとなって思いました。
―4年間の大学サッカーで頑張ってきたことはどのようなことでしょうか? 下の学年の時から試合に出させていただいているという部分もあったので、チームを引っ張っていくために、ピッチの中では誰よりも闘えるような選手、苦しい時にこいつがいれば大丈夫って思われるような選手でいるように頑張ってきました。練習から、誰よりもしっかり声を出してやってきたという部分はあります。副キャプテンをやっているので、チーム運営の部分でも、下の学年からの意見も聞いたりして、それを改善できるように、4年生やキャプテン、副キャプテンを中心に話して、円滑に進めるようにしてきたかなと思います。
自分はただがむしゃらにやってきただけだったんですけど、大学に入って、自分よりフィジカルで強い選手、速い選手、うまい選手がいて、そういう選手に勝つために、ポジショニングだったり、自分がどこに立てば相手はいやなのか?とか考えるようにしていました。そのためにも、自分のプレーを何回も見返したり、相手チームの試合を見たりとか、試合を見ることが多かったかなと思います。
―大学サッカー生活で学んだこと、成長した部分はどのようなことでしょうか? ベクトルを自分だけじゃなくて周りにも向けられるようになりました。自分だけじゃなくて周りにも目を配って、どうしたらいいかとか、心の余裕というのは4年間で培ったものというか学べたと思います。
チームをどうにかしたい、1部でやりたいというのがあったので、そのためにどうすればいいのかというのを考え続けてきました。自分だけがいくら頑張っても変わらないし、チームスポーツなので、チーム全員がそういう方向を向いていかないと厳しいかなって思っています。自分が頑張るのはもちろんですが、周りをどう変えていければいいか、働きかければいいかというのをすごく考え続けた4年間かなと思っています。結果、今は苦しいことになっていますけれども、自分としてはすごく成長できたかなと思います。
―関東リーグについて 関東2部でも、今でもプロに内定している選手も多くいますし、レベルは高いと思います。でも、大学に入ってから1部を目指してやってきたので、1部でやれなかったというのはすごく悔しいですし、今は残留を懸けて戦っているので、後輩たちのためにもなんとしてでも2部に残らないといけないという気持ちはあります。
―今、残留を懸けて戦っている現状を、どのように受け止めていますか? 入部したての1年生の時に比べて、うまい選手が増えてきて、チームとしてのサッカースタイルが変わりつつあるのかなというのを去年から感じ始めていました。今年もなかなか勝てない苦しい期間が長くて不安になることもあるんですけど、自分たちはやれているという手応え自体はありまして、やれているけど、最後に負けてしまうことがあるので、その点についてはすごく悔しいです。でも、やれている部分は自分たちも自信を持ってやれてますし、今日も2位の国士館相手にも粘り強く勝てるっていうのは、すごい自信になったかなと思います。
※関東大学サッカーリーグ2部で最下位となり、東京都社会人サッカーリーグ1部への降格が決定した。
―今までの大学サッカー生活は思い通りですか? 高校の時まではあまり怪我をしないでやってこれたんですけど、大学に入って、2年目も怪我をして、取材を受けた時も怪我で試合に出られなかったですし、3年の時も半月板をやってしまって、4年の前期も出られなくて。やっと復帰したと思ったら、前回足首をやられちゃって。なかなか試合に出る機会もなくて悔しかったんですけど、試合に出た時に必要とされる選手をずっと考えてやってきました。今日も、試合が終わった後に仲間から声をかけてもらって。良かったよとか、助かったという声が多くあって、自分がやってきたことは間違ってなかったんだなと思って、良かったなと思っています。
―怪我を前向きに捉えていた印象です。 3年生後期から4年生前期までずっと試合に出られないというのは、正直苦しくて本当に悔しかったんですけど、試合に出た時に活躍できるようにというのは考えてやっていました。怪我で自分が出られなくても、チームが勝てればいいと思っていたので、練習中もリハビリもしつつ、練習を見て声をかけたりとか、ミーティングの時に発言したりとか、チームに還元できるものはあったので、そんなに腐ったりせず、ポジティブに捉えていました。サッカーは切り離せない、生活の一部ですね。サッカーが好きです!
―進路は? 就活をしていませんので、サッカーでやっていこうと思っています。サッカーをやれない期間が長くて、自分の中では不完全燃焼というか、やりきりたいという思いがあるので、やれるところまでしっかりやって、無理だったら無理だったでそこはしっかり自分の実力を認めて切り替えて、就活します。でも、やっぱりサッカーが好きですね!
彼の吉報と、母校の2連覇という快挙を待ちたい。