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大学サッカー通信

第48回 大学サッカー通信 ~鈴木 遼(青森山田高校→東海大学 1年)~

2021年07月15日
第48回 鈴木 遼(青森山田高校→東海大学 1年)





すずき りょう
宮城県出身。仙台中田SSSから青森山田中学校へ進学。中学2年時、3年時と全国中学校サッカー大会で2度の優勝を経験。青森山田高校に進学すると、3年時にはセカンドチームの10番を背負った。全国高校サッカー選手権では控えながら3試合に途中出場。

取材・写真・文:安藤 隆人
取材日:2021年7月13日
「アミノバイタル®︎」カップ2021 第10回関東大学サッカートーナメント大会
東海大学vs山梨学院大学






atarimaeni Cup前回王者として、今年の総理大臣杯予選となるアミノバイタルカップに臨んだ東海大学だったが、2回戦で山梨学院大の前に1-1からのPK戦の末に敗れて涙を飲んだ。

「選手権決勝で山梨学院高にPKで負けて、大学でもPK負け。悔しいです」。

こう語ったのは東海大で唯一の1年生レギュラーとして出場をしたMF鈴木遼だ。彼はちょうど半年前まで青森山田高でプレーをしていた。

関東大学リーグ2部といえど、名門である東海大で1年生からレギュラーを掴むことは簡単では無い。その中で彼はボランチとして攻守において、堂々たるプレーを見せ、PK戦では9人目のキッカーとして冷静にキックを成功させていた。

「青森山田で培ったものを生かせるし、これから新しく積み重ねていくものがあることを実感しています。ただ、試合には出られていますが、足りない課題はたくさんあると感じています」。

試合後、淡々と語る彼は青森山田高時代に苦しい立場を味わっていた。仙台から青森山田中の門を叩き、6年間ずっとサッカーに打ち込んできた。だが、3年生になってもセカンドチームでは10番を背負ったが、トップチームでは思うように試合に絡めなかった。

それでもスーパープリンスリーグではエースとして君臨し、「開幕の時から絶対に最後はトップを喰ってやると思っていました」と、トップとの決勝では雨中の激闘の中で冷静さを保ちながらキャプテンの内間隼介と共に攻撃を活性化させた。

選手権では初戦の広島皆実戦と準々決勝の堀越戦の終了間際に投入され、準決勝の矢板中央戦では76分にMF松木玖生に代わって、約15分間プレーをした。だが、決勝では延長戦までもつれこむ中でも出番はやって来ず、PK戦の結末をベンチから見つめることしか出来なかった。

「6年間やってきた集大成として、高校最後の選手権では自分の全てを出したいと思っていたのですが、決勝は何も出来ずに終わってしまったことは、これまでで一番悔しかった」。

しかし、彼にとっての選手権は不完全燃焼に終わってしまったかもしれないが、6年間で実感した成長と悔しさが今、大きなベースになっていると改めて感じているという。

「入学してからずっと1年から出ることを目標にしていましたが、試合に出られたからOKではなくて、自分が出ることによってチームに何をもたらせるかを考えています。それは青森山田の時もどうやったらレギュラーに食い込んで、チームの役に立つ存在になれるのか、試合途中から入ってチームのために何ができるかを、ずっと考えながらプレーをしてきたので、今チームの勝利のために何をすべきかを考えられていると思います」。

もちろんこのままスタメンにずっと定着をしていられる保証は一切ない。だが、出られない悔しさと序列を変えるために真剣に奮闘し続けてきた経験があるからこそ、「常に危機感を持ち続けられているし、練習から120%の力で取り組み続けています」と、自分の立ち位置に甘えることなく真っ直ぐに前を見つめることができている。

「これからも試合に出させてもらえるチャンスをもらったら、日頃の練習の成果をしっかりと発揮する。この繰り返しだと思います」。

4年後に目標であるプロの舞台に立って躍動をするために、彼の巻き返しのストーリーはまだ始まったばかりだ。


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