1種(社会人)
ホーム4連戦のラインメール青森、連勝ならず<JFL第16節>
2022年07月18日
7月16日(土)に行われたJFL第16節、ラインメール青森はカクヒログループアスレチックスタジアムで鈴鹿ポイントゲッターズと対戦した。
第14節まで5試合白星に見放されていたラインメール青森は、ホーム4連戦の1試合目となる前節、4-1で快勝。勢いに乗り連勝を目指したいところだったが、34分、リーグ得点ランキング1位のMF⑲三宅海斗のゴールで鈴鹿ポイントゲッターズが先制。さらに44分にも三宅の追加点で鈴鹿が2点リードして前半を終える。後半、ラインメール青森も勝利への執念を見せたが、最後までゴールネットを揺らすことはできず、前半のリードを守り切った鈴鹿ポイントゲッターズが2-0で勝利。暫定順位は勝点23で8位青森と9位鈴鹿が並ぶ結果となった。
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青森県でプレーしていた選手も多く在籍する鈴鹿ポイントゲッターズ。
昨季まで6シーズンにわたりヴァンラーレ八戸を支えたMF㉕前田柊は、先発出場し76分までプレー。
昨季のラインメール青森でディフェンスの中心選手だったDF④平出涼はフル出場し、古巣を相手に完封勝利に貢献した。
平出と同じく昨季ラインメールでプレーしたDF②進藤誠司は76分から途中出場した。
青森山田高校出身のMF㊵松木駿之介も76分から交代出場。
この試合のわずか三日前にJ2ファジアーノ岡山から期限付き移籍で加入したばかりで、三浦泰年監督も起用については「今日ぎりぎりまで、頭から使おうか悩んだ」という。それでも、「今日は交代で出て、彼も納得するパフォーマンスではなかったような顔はしていましたが、一昨日合流して、昨日調整して今日と、三日でこれだけのことをやってくれましたので、僕としては非常に感謝しています。共に戦っていって少しでも多く勝利できればいいなと思います」と評価し今後に期待を寄せた。
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柴田峡監督
「1400人を超える方に集まっていただいたのは今季初めてです。選手たちも非常に協力して、選手たちだけでチラシとチケット配りもやってくれた成果だったのかもしれないですし、悪天候のなか来ていただいた方には感謝を申し上げたいと思います。ありがとうございます。
1400人も来ていただいているなかで、結果を残せなかったのは非常に残念です。次の試合はまたすぐにやってくるので、ここで後ろ向きになっても仕方ないですし、我々もしっかりと反省するところは反省して、切り替えて次に向かいたいなと思います」
この試合では、経験豊富な二人の新戦力が初先発。J3藤枝MYFCから期限付き移籍で加入したMF㉘岩間雄大と、JFLのFCマルヤス岡崎から完全移籍で加入したDF㉝多々良敦斗。先月、松本山雅FCから育成型期限付き移籍で加入するや3戦連続フル出場しているMF㊶村越凱光と同じく、柴田峡監督が松本山雅在籍時に指導した選手たちだ。
「多々良に関してはかなり長く、JFLからJ2、J1と上がるところまで一緒だったのですが、マルヤスと対戦した時(第4節)久しぶりに彼のプレーを見て、今JFLでは一番良いセンターバックだなと感じました。(岩間)雄大に関しても、うちのウィークポイントだったところを埋められる存在です。彼らは練習に取り組む姿勢も良く、それから松本で、地域のクラブが成り上がっていったプロセスを体感してきた選手です。今(ラインメールが)観客動員に苦しんでいるなかで、そういう経験をしている選手たちが入ってくれることによって、ほかの選手たちにとって選手としての見本、それから地域のクラブにいる選手としての見本になるというところでは、彼ら二人に大きな期待があります。彼らにチームの軸を作ってもらいたいという思いがあり、選手としての魅力、それから人間的な魅力、その両面から獲得したという経緯です」(柴田監督)
現在、勝点23で暫定順位8位のラインメール青森だが、2~4位のチームは勝点27(7月17日時点)と、今後JFL参入要件である4位以内が狙える可能性はまだ十分ある。しかし問題となるのは、観客数の少なさだ。ホームゲームの平均入場者数2000人以上が求められているが、前節までの6試合で平均観客数は400人台という厳しい現状がある。
そうしたなかでこの試合では、今季最多の入場者数となる1475人を記録した。これは今季だけでなく、ここ数シーズンでも最も多い観客数となる。柴田監督は、試合後の記者会見で何度もこの日スタジアムに足を運んでくれた観客への感謝を述べながら、このように語った。
「少しでも地域に受け入れられるために、クラブに足りないと思うことは、地域に何を残したいのか。Jリーグに上がれればそれでいいのかというと、それは違うと思います。それだけでは、上がって勝っているときは応援してもらえても、勝てなくなったときに応援してもらえなくなります。『青森の方々の健康を担保します。青森の子育ての一端を担わせてください』というくらいのことができないと。子育てと健康というところをもっともっと密接にやっていきましょうというのは、僕からクラブにメッセージを送っています。選手たちと一緒に、そういうパワーを現場から波及させていかなくてはいけないかなと。そういったなかで、選手会主導で先週の水曜日、自分たちでポスター、チケット、チラシを配りに行ってくれました。『僕たちも手伝いますよ!』と言ってくれるサポーターもいたりして、そういう意味ではスタッフが行くよりも選手が行った方がパワーがあるんだなと。ですから今日の(観客数約)1500人には、この悪天候のなかで本当に驚きましたし、本当にありがたいと思っています。これは継続させていかなくてはいけない。次の試合の集客のためだけに継続するのではなくて、100年構想と言われているわけですから、100年後までこのクラブが地域とともに歩んでいける、地固めをしていく1年にしなければいけないと思っています」
この日は残念ながら雨天のため中止となってしまったが、ラインメール青森は前回のホーム戦から、試合後に小学生を対象としたふれあいサッカー教室を開催している。また、選手が子供たちに本の読み聞かせをする活動も新たに始まった。地域とともに歩むクラブを目指していく、ラインメール青森の取り組みに今後も注目していきたい。