大学サッカー通信
第4回 大学サッカー通信 ~八戸雄太(青森山田高校→桐蔭横浜大学4年)~
2017年08月01日
第4回 八戸雄太(青森山田高校→桐蔭横浜大学4年)取材:文 本田悠喜(スポーツライター)
はちのへ ゆうた
東京都出身。柴崎岳を擁し、選手権準優勝を果たした姿に感銘を受け、東京から青森山田高校へ。同チームではディフェンスラインを主戦場に活躍。センターバックとサイドバックを兼任できるポリバレント性を買われ、大学では両方のポジションに対応。
青森ゴールVol.20、26号にインタビュー掲載。
取材日「2017年6月10日(土)/JR東日本カップ2017 第91回関東大学サッカーリーグ1部 前期第9節 桐蔭横浜大学 対 法政大学」
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前期リーグ戦も佳境の6月半ば、八戸の所属する桐蔭横浜大学は苦戦を強いられていた。順位は降格圏。8試合を戦ってわずか1勝。開幕前に掲げた日本一という目標は、大幅な下方修正を余儀なくされていた。
そんな中で迎えたリーグ戦第9節。法政大学との一戦に先発した八戸は、それまでの苦戦を感じさせないプレーを見せた。
「前半は風上だったので、前半のうちにゲームを決めるというゲームプランで試合に挑みました。それがいい感じにハマって、4点がポンポンポンと入って」と、前半から小気味良く点を重ねる前線に呼応し、守備で奮闘。試合終了間際に失点を喫するも、終始危なげないプレーで今季初のリーグ戦2連勝に貢献した。
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青森山田での3年間を経て、地元である東京に戻り4年目。ゲームキャプテンを務めることも珍しくない八戸。だが、一時は“大学”という環境に飲まれそうになり、「集中できていない」時期があったという、そんな彼に話を聞いた。
————今日は4得点で快勝、そしてリーグ戦連勝。いい結果になりましたね。
八戸 そうですね。チームプラン通り、前半のうちにゲームを決められたのが大きかったかなと思います。風上のうちに攻め切ろうということで。
—————今日までは負けが込んでいましたが、その点についてはどう考えますか。
八戸 そうですね・・・。先週やっと1勝目を挙げたんですが、それまではネガティブになる選手も少なくなくて。そんな状況で先週勝ったことが、今週の練習に良い影響を与えたように思います。本当に先週の勝利は大きかったですね。これで良いモチベーションを保てたのが、今日の勝利につながっていると思います。
—————ということは、先週からチームの雰囲気がガラリと変わったということでしょうか。
八戸 はい、もうガラリと変わりましたね。やっぱり一勝できたことで、選手の中にあった固さもとれて。まだ自分たちに自信があるわけではないんですけれど、いまは良いイメージを持って戦えていると思います。
—————“勝ち”は何にも勝る薬になるんですね。
はい、本当にそう思います。
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—————では、ここから大学サッカーについてお聞きします。まず、高校サッカーと大学サッカーの違いをどう感じますか?
プレーはもちろん、あらゆる面で違うんですが、何よりも周りの環境ですね。高校の時は指導者がいて、一人一人をちゃんと見てくれますよね。でも大学はそうじゃありません。監督はチーム全体を見ています。個人個人に焦点を当てるわけではないんです。大学生なら自己責任という意識があるので。
大学は高校の時と比べて時間もできます。授業の時間も、ある程度自分の意思で決められます。
その中でいかにサッカーに打ち込めるか。サッカーのことを考えて生活できるのかが大きいと思います。自分は1、2年生の時にそれを痛感しました。
—————というと?
・・・・(笑)
—————気の抜けてしまった時期があったんですね?
まあ、はい、そうですね(笑)
一年生の時は特にそうでした。
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—————いろんな選択肢が出てきますからね。
そうですね。
自分はもう1年目が結構酷くて・・・。
サッカーから逸れてしまったわけではないんですけれど、トップチームでは出場できませんでした。ずっと下のカテゴリーでやっていて。実はそんなにサッカーに集中できていなくても、なんとなく、ある程度やれていたので。
それで2年目になって、状況は変わらず。このままじゃトップチームに合流できないとわかったときに、ようやく「ヤバい」ということに気づいて、必死にモチベーションを上げていったという感じですね。
—————サッカー以外のことに流される人も、大学という環境では絶対に出てくると思います。何をするにしても自由がありますから。では、その自由に飲まれないためには何が必要だと思いますか。
自分が試合に出ている姿を想像して、その姿からやるべきことを逆算する。そうすると、今やるべきことを計画して行動するようになります。そういう1日1日を過ごすことが大事なんだと思います。
—————お住まいが実家ということですが、一人暮らしの環境よりかはサッカーに集中しやすいと思いますか?
いやあ、人によりますね(笑)
実家でも自分のように遊ぶ人は遊ぶので(笑)
—————なるほど(笑)では、大学サッカーに進む後輩に向けて、ここは気をつけたほうがいいというアドバイスはありますか?
やっぱり・・・自分を持つことですかね。
周りに流されてしまう人は自分を含めて結構いました。
—————そこからサッカーに集中しなおすために必要なことが・・・
はい、結局もう一度サッカーに取り組めるかどうかは、さっき言ったように、逆算で日々を過ごせるか。そこ次第だと思います。
—————未来を想像し、たった今やるべきことに集中すること、ですね。それでは最後に、大学ラストイヤーということで、意気込みや展望をお願いします。
開幕前は1部優勝、夏の総理大臣杯での優勝が目標だったんですけれど、今は調子も悪いので。まあ、桐蔭横浜はまだインカレに出場したことがないので、インカレ出場ですね。
個人としては、これは前から思っていたんですけれど、全試合出場と、あとはディフェンスの選手なので、無失点にこだわるということ。最近はなかなか無失点の試合がなくて、自分を含めてディフェンスラインは結構話し合いをします。一試合一試合にしっかり取り組むというのが今の目標ですね。
—————今後の予定は?
正直自分は、今後もサッカーを続けるかどうか悩んでいて。この夏を終えて、前期リーグが終わるタイミングで決めようかなと思っているんですけれど。
—————就活はやっているんですか?
いや、全然。やるなら前期リーグが終わってからですね。
でも、こうやってずっとサッカーをやってきた経験は大きいと感じているので、これを次につなげたいと思っています。
—————なるほど、前期リーグ終了のタイミングが一つの判断基準になるんですね。今日は試合の直後にありがとうございました。
はい、お疲れ様でした。
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