2種(高校生)
東北高等学校新人サッカー選手権大会、決勝「青森山田高校 vs 秋田商業高校」
2019年01月29日
東北高等学校新人サッカー選手権大会、決勝「青森山田高校 vs 秋田商業高校」
取材・写真・文 安藤隆人
「初戦の山形中央戦で2失点をして、凄く悔しかったし、準決勝の尚志戦で完封したとき、物凄く大きな達成感があった。なので、決勝でもそれを味わいたかった」。
不在の武田英寿と並んで、選手権優勝をピッチで経験した1年生藤原優大は、今年の守備の要としてCBの役割を任された。もともとボランチやシャドーを主戦場としているが、「新チームではCBとしてプレーする事になると思う」と選手権決勝直後に語っていたように、守備の要になる覚悟は出来ていた。
だからこそ、いざ新チームで臨んだ東北新人大会で三國ケネディエブス(アビスパ福岡)から背番号5を引き継ぎ、CBで起用されても彼は動じる事無くプレーし、精神的にも逞しさを見せた。
選手権ベスト8の秋田商との決勝戦。CBとして空中戦の強さを披露しつつ、「なるべく周囲に目を配って、味方を動かしながら守備をしようと思った」と、常に首を振って全体を観ながら、DFラインを統率した。
結果、相手のシュートを前後半通じて1本のみに抑え込んだ。攻めては24分に右FKを得ると、MF浦川流輝亜のキックをMF金賢祐がバックヘッドでゴールに沈め、先制に成功。37分にも再び金が抜け出して冷静に追加点となるゴールを奪い、2−0の完封勝利で東北新人大会2連覇を手にした。
藤原は56分にCBからトップ下にポジションを移していた。これは「ちょっと周りが藤原に頼りすぎていて、彼もストレスを感じているのでは思ったので、前に置いた」と正木昌宣ヘッドコーチが語ったように、奮闘する藤原を気遣う形で、56分にMF後藤健太に代えてCB松本将吾を投入すると、藤原をトップ下のポジションに上げて、本来のポジションでプレーをさせたのだった。
試合後、藤原はその気配りに感謝を示しつつも、「尚志戦で得た達成感をもう一度味わいたいと思いましたし、(ポジションが移るまで)ゼロでしっかりと抑えられていたので、CBでプレーする事にストレスはありませんでした」と口にした。この言葉は裏を返せば、彼のCBとしての自覚がこの大会で着実に芽生え始めている事を如実に表していた。
決して「やらされている」のではなく、自らCBとしての楽しさ、やり甲斐を見出して、必要な要素を吸収しようとする姿勢が彼にあったからこそ、準決勝、決勝を無失点で切り抜け、2連覇を達成する事が出来た。
「僕は小学校、中学校とキャプテンをやって来ているので、新チームで(武田)ヒデさんがキャプテンだと思うのですが、キャプテンの辛さを知っているからこそ、ヒデさんを1人にしないように支えて行ける選手になりたいと思います。そうすることでチームも良い方向に向かうと思っています」。
その表情はすでにチームの中心としての覚悟と決意に満ちあふれていた。まずは1冠を達成した新生・青森山田。2年生DFリーダーの存在感はここからさらに増して行くだろう。