ウェブ連載コラム
青森山田高校OBの現在 八戸雄太選手(Honda FC)
2019年05月10日
ベンチ入りすらできない苦しい日々が続いた後、ようやく訪れた今季初先発の舞台は、高校時代を過ごした懐かしい青森での試合だった。「青森ということもあって、色々な感情がある中で、平常心を保とうと思いながらプレーしていました」。試合後、八戸雄太はそう振り返った。
青森山田高校を卒業後、桐蔭横浜大学からJFLの強豪・Honda FCに加入。JFL史上初の3連覇を果たしたチームで、1年目は開幕からベンチ入りを果たすものの、リーグ戦での先発出場は3試合、途中出場3試合にとどまった。2年目となる今季はスタメン奪取を目標に掲げたが、怪我の影響もあり、公式戦初出場の機会は4月21日に行われた天皇杯静岡県予選準決勝まで待たなければならなかった。
そしてついに今季リーグ戦初先発となったこの日。八戸は左サイドバックとしてフル出場し、1-0での完封勝利に貢献した。
「去年のラインメール戦には来られなかったので、今年やっと初スタメンで、勝てて良かったです」と、ひとまずは安堵した様子を見せるも、自らのプレーには決して満足はしていない。
「まだまだですね。体のキレもまだ全然戻って来ていないですし、後半は結構バテて、相手にチャンスを作られたシーンもありました。そういうところはまだ課題としてあるので克服したいですし、またサイドバックで出た時にはアシストや得点に絡めるように、試合を変えられるような選手になっていきたいと思います」
この日の試合会場は、高校選手権青森県大会準決勝・決勝が行われた青森県総合運動公園陸上競技場。
「ここでも試合をやったことがありますし、アップしていても、色々な感情が出てきました」と話す八戸は、青森山田高校2年時にはセカンドチームのメンバーとしてプリンスリーグ東北を戦い、全国高校選手権で初めて先発に抜擢される。最終学年ではセンターバックとしてトップチームのレギュラーで活躍、GK田中雄大(現・SC相模原)らと共に青森山田の堅守を支えた。
「高校の時は、ノリと勢いというか、気持ちでやっていた部分がありました。でもこうやってカテゴリーが上がっていくと、なかなかそれだけでは通用しなくて、頭を使ったり、試合展開を見てプレーを変えたりしなければならない。そういった面では成長しているなとは実感できます」
当時の自分と比べて成長していると感じる部分について尋ねると、このように答えた八戸。所属するHonda FCはJリーグ参入を目指さない企業チームであり、八戸自身も午前中は仕事、午後に練習をするという生活だ。だからこそ、「天皇杯では勝ち上がって、Jのチームを倒したい」という明確な目標を持っている。
この試合の翌週に行われたJFL第7節でも八戸はフル出場し、チームは2連勝で5位に浮上した。そして5月12日には、天皇杯静岡県代表の座をかけてアスルクラロ沼津との決勝戦に臨む。