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大学サッカー通信

第40回 大学サッカー通信~佐々木 友(青森山田高校→Parkland College→Mount Mercy University)

2020年08月24日
佐々木 友(青森山田高校→Parkland College→Mount Mercy University)

ささき ゆう
奈良県出身。青森山田中学校に入学。3年時にキャプテンを務め、全国中学校体育大会で優勝を果たす。大会優秀選手選出。青森山田高校3年時は、プレミアリーグEAST3位入賞。高校卒業後に渡米。活躍の場を、アメリカの大学に移している。

掲載号:VOL.29/30/44/48/50



地元・奈良県から遠く離れた青森山田中学校へ入学した佐々木友。その後は青森山田高校へと進学し、卒業後は関東の大学に進学するはずだった。しかし彼は今、アメリカの大学で勉強とサッカーに励む日々を送っている。彼はなぜ、アメリカに渡ったのか?
 青森山田高校サッカー部の選手たちは卒業後、プロ入りする選手以外のほとんどが大学に進学。活躍の場を「大学サッカー」というフィールドに移している。高校3年生だった佐々木も、関東の大学を受験していた。しかし、推薦で受験した大学はまさかの不合格。この先どうしようか進路について悩んでいた時、正木昌宣ヘッドコーチから声を掛けられる。アメリカと日本を行き来し、代理人をしている正木コーチの知人が、青森山田高校サッカー部を訪問しに来るという話だった。ターゲットは高校2年生であったが、不合格を言い渡された2日後というこのタイミングは、佐々木にとってはチャンスだった。

「こんなタイミングやし、こんなに話がうまくいくことってなかなかないなと思ったんです。黒田監督と正木さんには、話が終わった後に、アメリカに行く方向で考えてますって言いました。どっちもけっこう驚いた顔してました(笑)」

 12歳で親元を離れた経験から、海外に渡ることに不安はなかった。漠然と「20歳までに海外に行くんだろうな」という想いを抱いていた佐々木にとって、「今がその時なんだ」という感覚だったという。この代理人が、青森に来たのはこの時が初めてだったというのも、運命だったのだろう。両親と代理人の話し合いも無事に終わり、佐々木は日本を離れ、アメリカに行くことを決めた。


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 代理人が決まったからといって、その時点でチームが決まったわけではなく、それは最初に一歩に過ぎない。「エージェントの人と大学との信頼関係もなんですけど、ビデオを持っていないといけなくて。僕は、大久保コーチ(前GKコーチ)がビデオを作ってくださったので、チームが決まったのはそのおかげと言っても間違いないです。そのビデオを見た大学のコーチが、僕を欲しいと言ってくれたので、ほんまに大久保さんに感謝です!」

 無事にチーム(大学)も決まり、高校を卒業してアメリカに渡った佐々木。アメリカの大学のサッカーシーズンは8月にスタートするが、それまでは、サンフランシスコでホームステイをしながら語学学校に通い、クラブチームの練習に参加。日曜日にはサンデーリーグというリーグ戦でプレーをするという日々を送っていた。「ホームステイ先の人が何を言っているのか分からなくて、最初の一ケ月くらいは、耳が慣れるまで本当にきつかったです。でも、慣れてきたら自分の意志も言えるようになりました」。こうして、徐々にアメリカのサッカーに溶け込み、8月に自分のチームでの活動をスタートさせた。



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 アメリカの大学では、サッカー選手は1年契約で、金額の交渉も選手本人が行う。この金額というのは、大学でかかる費用などを、大学側がどこまで負担するか、選手からしてみれば、どこまで出してもらえるかということである。結果が出ない選手は契約更新されず、他の大学に移ることになる。また、他チームから好条件でオファーがあった場合にも、大学を移ることが可能。「大学を移る」というのは日本では通常考えられないことなのだが、アメリカでは「単位を持って」大学を変えることができるため「大学も選べるし、自分に合った監督も選べるのは大きなところですね」とアメリカの大学サッカーの魅力を語る。「その分、日本みたいな仲間意識は感じないですね。結果を残すためにみんな飢えているので。高校3年間を一緒に過ごしたような仲間は、多分一生できないだろうなって思います」。シーズンスタート時は25人ほどいた部員も、去年は残ったのが10人弱。「試合に出られへん子もいるので、練習で荒れたりすることもあります。でも、それはお金のためなので」。

 日本とはかなり違う練習への取り組みにも、最初は驚きを隠せなかったという。「〝俺、今日練習やらへん”って試合前に言う選手がいるんですけど、監督もそれをOKするんですよ。〝ええよ。そのかわり、試合で結果を残しなさいよ“って」。3か月で18試合をこなすタイトなスケジュールなため、選手のコンディション管理は非常に重要となる。「結果を残すために、おのおのが準備をするって感じですね。日本じゃ絶対にありえへんって経験ですね」



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多国籍軍のチームは「スタメンやったら、GKがイタリアで右SBがアメリカ、CBがチュニジアとアメリカで、左SBがカナダ、ボランチがエチオピアとブラジルで、右がポルトガルで左がカナダ、FWは僕とコロンビアですね」とのこと。「戦術理解度は、僕はめちゃくちゃ高い方です。言葉が通じへん中でも、状況を整理して判断する力が少なからずあると思うので、チームがやりたいことは理解できました」


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青森山田中学校時代。当時は「サッカーで頭がいっぱいいっぱいで、淋しい気持ちはなかったです」。3年時にはキャプテンを務め、全国大会優勝を果たした。



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青森山田高校時代。「こんなメンタルを作れたのは、青森山田の環境で育ったおかげやと思うし、どんな状況においても、何クソ!ってなれるのは、他のところに行っていたらできなかったと思います」


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 日本を飛び出し、世界中から集まる若武者たちと、しのぎを削って戦い続けている佐々木。「最高のチョイスをしたんじゃないですか。すごく良かったなって思います。ほんまにタイミングなんですよね。大学に落ちて、まさかそんなタイミングよく代理人が来るとは思わなかったですよ。それは、神様がそうやって僕にやってくれたのかもしれないですけど、すごく良かったなって思います」


 今年は新型コロナウィルス感染症の流行により、全米大会は中止となってしまったため、自分が属する中地区で、個人としてもチームとしても結果を残すことが目標だと語る。また、3年生となる今シーズンは、これまでの活躍が認められ、新天地でのシーズンが始まる。送り出してくれた両親にも、「アメリカで活躍して早く恩返しがしたい」と想いを語る。

「20歳を超えて、サッカー選手としても一番脂が乗る時期やと思うので、あとの2年間でどれだけ結果を残せるかが大事。今、どれだけ奮起できるかがすごい大事やと思うし、その積み重ねが、2年後どうなってるか。失敗しても大丈夫! それは、アメリカに行ってほんまにそう思うので。失敗と捉えるか、自分の成長と捉えるかって大事やと思います。なんでも経験してなんぼじゃないですか。どんな道を選んだとしても、自分のためになることではあるから」

 
 8月上旬に合流した新天地では、トルネードの被害により、電気が使えず食事もままならない中からのスタートとなった。しかし、ピンチをチャンスに変えてきた彼なら、この逆境をもはねのけることだろう。「経験してなんぼ」-2年後、プロの世界に飛び込む彼を期待したい。



 
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※学年は掲載時点のものです。

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