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2017年08月31日
青森山田高校のインターハイ 3回戦で幕を閉じる「決勝戦を戦い終えた翌日に、もう一回決勝戦があるようなもの」
この黒田剛監督の言葉がすべてを物語っていた
取材/文:安藤隆人(サッカージャーナリスト)
味わった2試合連続決勝戦の壁 青森山田は、初戦でいきなりプレミアウエスト3位の東福岡と激突し、内容でも相手を上回る3ー1の勝利を掴みとったが、この試合で相当な消耗戦を強いられていた。それと同時に「どこか選手の中で気の緩みというか、ほっとしたところがあったかもしれない」と黒田剛監督が語ったように、東福岡を倒したことで、無意識のうちに張りつめていたものが少し緩んでしまった。
結果、3回戦の前橋育英戦は、前半立ち上がりから30分まではほぼ相手を完全に抑え込み、主導権を完全に握った戦い方ができたが、31分に1ー1に追いつかれてからは、一気に組織がばたついてしまった。同点直後の決定機をMF⑦壇崎竜孔が外すと、さらにそれに拍車が掛かってしまった。
「前半の内に追いつかれ、バタバタしてしまった。そこから立て直すことができなかった」とMF⑩郷家友太が語ったように、後半は『選手権のリベンジ』を掲げ、この試合をターゲットに戦ってきた前橋育英の勢いの前に、完全に飲み込まれてしまった。東福岡戦とは全く逆の展開で、終わってみれば1ー3の敗戦。青森山田のインターハイは3回戦で幕を閉じた。
青森山田にとってはあまり経験したことがないような怒濤の2連戦だっただろう。プレミアイーストでは毎試合のように、東福岡や前橋育英クラスの強豪と当たり前のように戦っているが、その試合の間に5〜6日空くため、コンディションを整えて、戦略を練ってから挑むことができるが、インターハイは翌日にあり、かつ一発勝負で調整をする時間が一切ない。まさに息つく暇のないまま、同じテンションで戦いに臨まないといけない。
黒田監督の『決勝戦が翌日にもう一回ある』という表現は非常に的を得ていて、この2連戦を乗り切るには相当なメンタルと、チームの総合力が求められてくるのだ。それは黒田監督もこう評している。
「こういう連戦は勢いが重要。よほどチームとしてサブを含めたパワーが必要になる。トーナメントを勝ち上がっていくだけのパワーは去年と比べたら、まだまだ足りない」。
交代して投入された選手がいかにハイパフォーマンスを見せ、試合の流れを変えていくのか。さらにスタメンの選手も新たな選手が投入されるまでにきちんとゲームの流れを作って、交代選手が飲み込まれない状況にしておけるか。東福岡戦ではそれができて、前橋育英戦ではそれができなかった。これを2試合通してできるように。もちろん、これはどのチームも簡単にできず、かなり過酷な難題であることは間違いない。だが、今年のチームが目指しているのが選手権の2年連続の日本一である以上、それはクリアしていかなければいけないものである。連戦をモノにしていくチームとしての逞しさ。それを再確認したインターハイであった。
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