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2月25日発売の最新号「AOMORI GOAL VOL.56」から青森山田高校が2年ぶりに全国制覇を果たした『第97回全国高校サッカー選手権大会』を青森山田スタッフが振り返る
2019年02月27日
青森山田高校の黒田剛監督、正木昌宣ヘッドコーチ、千葉貴仁コーチ、大久保隆一郎GKコーチ、若松佑弥トレーナーが今大会を振り返る。
黒田剛監督
優勝おめでとうございます。今年のチームは2年前に2冠を達成したチームに似ていると仰っていましたが、どのような点が似ていたのでしょうか。 人にものを言える強さ、嫌われてもチームを良くしたいという思い、そうした犠牲心を持った選手が多かったという意味で、選手一人ひとりに人間的なパワーがあるというところが似ているのかなと思います。そういうパワーはコントロールを失うと危険ですが、 ”勝ちたい “ という意思がチーム力に繋がって、最終的に、土壇場での結果をすごく左右してくるというのは経験上実感していました。2年前も今年みたいに暴れ馬が多かったので、色んな方法でコントロールして、すごく上手くいったと思います。そういうところも似ていますね。今回は選手権直前に、一度壊れたチームを再構築したことが有効に働いたと思います。
キャプテンの交代でしょうか。 言ってしまえばそうですね。今年のチームは、勝たなければならないゲームを失ったり引き分けたりすることが多かったです。肝心な時に勝ち切ることができなかった。それで「このチームでは駄目だ、また同じことを繰り返す」と思っていた時に、モラルが低下した選手が出てきたんです。「このタイミングだな」と思いました。もちろん、キャプテンを変えることほど辛いことはありません。 ”キャプテン交代 “ の文字だけを見たら冷徹だと思われるかもしれません。選手権直前に、一か八かの賭けに出て失敗したら、監督の私が責任を全て負わないといけない。でも、ちょっとした自信はありましたので、あえて荒療治しました。しかし、本当に檀崎(竜孔)が今までよくやってくれていましたので、心は痛みました。ただ、檀崎もみんなを引っ張っていく責任に少し苦しんでいましたので、そこを飯田(雅浩)と分かち合い、2人でチームを両面から導いていく方が有効だと考え、今回の決断に至りました。コーチ陣の中には「このままでいいんじゃないですか?」という声もありましたけど、檀崎が辛い思いをしていたのはすごく見えていましたので、何があっても私が責任を取ると心に決めていました。一種の科学反応と、再構築した時には一人ひとりの今以上の成長は見られると思いますし、チームとしての結束力が強まることを計算した上で、そのようにしました。
(続く)
正木昌宣ヘッドコーチ
僕自身は2回目の優勝ですが、1年間頑張ってきた結果として、嬉しさよりもほっとしました。入学当初から日本一を獲れるチームだなという印象があったので、結果を出したいと思っていました。新入生合宿の時から、一人ひとりの持っているパワー、モチベーションや技術的なものも新入生の段階では高かったので、あとはチームとしてうまくまとまっていけばいいのかなという感覚でいました。
(続く)
千葉貴仁コーチ(写真右)
今年は、勝ちたい気持ちを前面に出す選手が多かったことが、優勝できた一つの要因だったかなと思います。試合に出ているメンバーも、出なかった選手や途中交代で出る選手たちも、一つになって同じ方向を向いていました。
(続く)
若松佑弥トレーナー(写真左)
コンディショニングが上手くいった大会だったと思います。2年前の優勝の時と比べても、今回の方が上手く調整できました。コンディションチェックシートを作って出発日から毎日体重を測り、疲労度の自己申告の指数などもチェックしていました。
(続く)
今季で退任する大久保コーチが、今大会と青森山田で過ごした8年間を振り返る。
大久保隆一郎GKコーチ
今年のチームは、勢いに乗れば強いメンタルで気持ちを盛り上げ、みんなで同じ方向を向いている時は強いですが、精神的に折れるタイミングが早い選手が多く、試合中に良くないプレーをしてしまった時にはガーッと落ち込んでしまう。しかもそれぞれが落ち込んで、崩れてしまうチームでした。その象徴が、昌平戦(インターハイ2回戦で対戦。2点のリードを守り切れず、4失点し逆転負け)でしたね。
そこからどう良くなったのかというと、チームが良くない時に、監督がチームに「このままじゃダメだ」と喝を入れて、気付かせる回数が例年より多かったんです。去年だったら1回、2回ぐらいでしたけど、今年は4回くらいやったと思います。それが優勝できた大きな要因だったのかなと思います。
(続く)