1種(社会人)
ラインメール青森、ホーム4連戦は黒星スタート <JFL第15節>
2023年07月11日
7月9日(日)、ラインメール青森はホームの新青森県総合運動公園球技場にHonda FCを迎え、JFL第15節を戦った。
試合前には青森菱友会囃子方によるねぶた囃子の演奏が披露された。ラインメールのホームゲームでは選手入場時のBGMとして録音を使用しているが、今回は生演奏。詰めかけた観客は祭り本番よりも一足早くねぶた祭りの雰囲気を味わった。
Honda FCのサポーターは砂森和也選手(J3長野パルセイロ)への熱いメッセージを横断幕に記した。
先日、家族の看病のため選手活動休止を発表した砂森選手は、2013年から3シーズンにわたりHonda FCでプレーしていた。
ラインメール青森のベンチには23番のユニフォーム。右膝前十字靭帯損傷により全治9ヶ月と発表されたFW阿部要門選手のものだ。
怪我で昨シーズンを棒に振り、ようやく復活した矢先の大怪我。彼の思いと共にラインメールは戦う。
試合開始からわずか3分、早くも試合が動く。ペナルティエリア外から左足一閃、FW22齋藤来飛のシュートがゴールに突き刺さり、ラインメールが先制する。
このままラインメールが勢いに乗るかに思われたが、その後状況は一変。21分に同点とされると、さらに34分、44分と立て続けに失点。今季初の3失点を許し1-3で前半を終える。
「リズムを変えるためには、何かを変えなくてはいけない。少し攻撃的な選手を入れ、守備のところは多少目をつぶっても点を取りに行きたいというメッセージを伝えた」(柴田峡監督)
1-3で迎えた後半。一挙に3人を代え、より攻撃に重点を置き反撃を試みるラインメール。前半に比べ厚みのある攻撃で相手ゴールに迫るも、決めきることができないまま時間は過ぎ、迎えた83分。FW10船山貴之のコーナーキックに頭で合わせたのは、GK17廣末陸だった。
「2点差はなかなかひっくり返せるものではないので、勝点3を取ることを考えたときに、残り10分にはせめて1点取っておかないと難しい」と考え、指示されたのではなく自分の判断でゴール前に上がったという廣末。
「僕が上がることで相手は1枚足りなくなる。僕はフリーなので、チャンスになるならと。いいボールが来たのでただ入れるだけでした」
降り続く雨の中、その後もラインメールは何としても同点に追いつこうとゴールを狙い続けたが、力及ばす2-3で試合終了。今季ここまで4戦無敗だったホームで初の黒星となった。
ラインメールの攻撃を封じたHonda FCのセンターバック、DF4八戸雄太は青森山田高校出身。セットプレーの場面では3学年下の廣末と競り合う場面も見られた。
「前期の最終節ということで一つの区切りであり、それからホーム4連戦の初戦ということで、次につなげていくために非常に重要なゲームでした」と柴田峡監督。
「どこのチームも勝点が詰まっているなかで(獲得する勝点が)0か、1か、3かによって大きく順位は変わってくるわけで、連勝しなくては上に行けない。Honda FCはここまで2連勝、4月から8試合負けなしの状態で来ていて、リーグの中でもリスペクト出来るぐらい個人の力があるとわかっていたゲームでした。見事にその差が、最後のクオリティーの差が出てしまったなと。すべての失点について、してはいけない失点だったと思います。ここまで8失点で来ていたのが、今季最多失点。少し選手の中には甘さが出ていたかなと今日前半をやってみて感じました」
前半の失点が響き敗れはしたが、後半の攻撃には指揮官も手応えを感じていた。
「これくらいのクオリティーで相手のゴールに向かっていれば、選手たちがこれを体感できていれば、『Honda戦の後半はできたよね』ということは彼らにとって良い経験になるのではないかと、ピッチから出てくる熱みたいなものを感じることができた。そういう意味では、そんなに悲観はしていません。結局はキーパーが点を取ったとはいっても、ゴールに肉薄する場面はたくさんできていました。前半の45分はある意味マイナスのイメージのいい経験だったかもしれないが、後半はプラスの意味でいい経験を積めたのではないかなと感じているので、それを次につなげていくことが重要かなと思います」
この結果、順位は変わらず7位。一方、勝点3を得たHonda FCは一気に首位に躍り出た。
後半戦で巻き返しを図るため、指揮官は現状を冷静に見つめながらチームに変化を求めていく。
「今日の負けをどうとらえていくか。これが今の力だということは私自身にも言わなくてはいけない言葉ですし、選手たちにも試合が終わってから話をしました。14試合終わって勝点が20しか取れていない。14得点、11失点。これが今の力。何をしなければいけないのかということを後期に向けて、それからそのあとの1か月間の中断期間で、しっかりとチームをもう一回作り直し、ブラッシュアップしなくてはいけない」