1種(社会人)
ラインメール青森、中断期間明け初のホーム戦は引き分け <JFL第20節>
2023年09月12日
9月10日(日)、ラインメール青森は中断期間明け最初のホームゲームを迎えた。
試合前には青森市消防団はしご組による、はしご演技が披露された。はしご乗りは江戸時代の町火消しから生まれた、出初式などで披露される伝統芸能。高いはしごの上で繰り出される見事な演技の数々に、会場の新青森県総合運動公園球技場に集まった406人の観客も拍手を送った。
ここ4試合負けなしで3位をキープしているラインメール。
対するFCティアモ枚方も5試合負けなしで順位は8位。二川孝広監督は選手としてかつてガンバ大阪などで活躍し、今季から監督を務めている。
前日に行われた試合で首位Honda FCが大敗。4位クリアソン新宿も敗れており、ラインメールにとってはこの試合に勝てば下位を突き放して2位浮上のチャンスもあるという状況だった。しかし試合はティアモ枚方優勢の展開。懸命に耐えていたラインメールだったがついに40分、先制を許し1点ビハインドで前半を終える。
後半開始から間もない46分、MF8山口和樹が放ったシュートをヒールで蹴り込んだのはFW10船山貴之。これで今季通算3得点目となり、船山のチャント「成田の漢」がスタジアムに響きわたった。
しかし、同点に追いついたものの、勢いに乗って追加点を奪うことができないラインメール。9月の青森市にしては異例の暑さで体力も奪われるなか、飲水タイム後は積極的な選手交代で打開を図る。新加入のFW39ヴィニシウス、FW49クルーニーなどを投入するも、シュートには至らず時間が過ぎていく。
一方で前後半計21本ものシュートを打たれながら、リーグ最少失点を誇る鉄壁の守備はこの試合でも健在。守護神・GK17廣末陸もファインセーブを連発し、前半の1失点のみにとどめたが、最後まで勝ち越すことは叶わず1-1で試合終了となった。
同点ゴールの場面について「触っただけです。キーパーがどこにいるかとかも見ていない。俺のところに来たから触っただけ」と振り返った、ゲームキャプテン船山貴之。
「戦術どうこうというよりも、もっと気持ちを出さないと。上がるんだ、という気持ちをもっとプレーに出さないと。そんなに甘い世界じゃない。それをこの1週間で少しでも伝えられたらと思います」と厳しい表情。
昇格に向かってチームが一体となるよう、「前は前、後ろは後ろ、では勝てない。もっとチーム一丸でやらないと。諦めないプレー、勝つ執念を見せていきたい」と話した。
MF4住永翔は第15節以来の先発出場。ここ4試合は途中出場が続いていたが、前半はMF28岩間雄大とのダブルボランチで、フォーメーションを変更して臨んだ後半は前所属の長野パルセイロ時代からチームメイトのMF8山口和樹とともにシャドーとして、83分までプレーした。
「残り10試合というところで、勝点3というものが毎試合必要となっていくなかで、ここ2試合で勝点2しか取れていないことについてはすごく反省があります。この時期の、この期間の勝点1、引き分けというのは、正直考え方的には負けとあまり変わらないぐらいの気持ちです。勝点3を取るのがどれだけ大事かというのを、僕だけではなくて選手一人ひとりがすごく感じたと思うので、この試合はなんとしても勝点3は取りたかったというのが正直な気持ちです。
これだけ失点していないと思っていても、1本のミスやひとつのシーンで失点してしまう、大事な試合で失点するということがちょっと多いのかなと思っているので、そこは改善したい。後半は点を取るタイミングが良かったので、そのままの勢いで勝ち越してさらにもっと点を取って、というふうにしたかったのですが、なかなかそうはいかず、ただ、勝たなければいけない試合だったなとは思います。
勝つ以外には何もいらないですし、今日と先週の引き分けを活かすためにはこれからも勝っていくしかないと思っています。そのための準備というところで、どんな試合をしても1週間後にはすぐ試合が来るわけで、気持ちを切り替えて次の試合ではしっかりと勝ち切って、勝点3を取って、アウェイですが勝って帰ってくるというところをチーム全体がひとつになって達成していきたいなと思います」
柴田峡監督は、まず会場に足を運んだ400人超の観客に感謝を述べたあと、試合を振り返った。
「残り10試合というなかで、自動昇格を考えると一個も落とせない。負けでも引き分けでもいけないということ、強い気持ちで勝ち切ろうということで、先週も今週も臨みました。そういうなかで先制点を奪われ、枚方さんはJFLの中でも本当に有数の攻撃力を持っているなということは当然のことながらわかってはいたので、先制されながら追いついたということは良かったかもしれないですが、ちょっと全体的にパワーがないなという感じがしました」
「内容的には、相手の攻撃力に対応するために、うちも少し人の並びを変えたなかでは充分に対応してくれた部分もあります。攻撃力のある枚方さんを相手に1点しか取られなかったということを評価するということも一つですし、0-1ビハインドから追いつくことができて、ひっくり返せなかったことは残念ですが、勝点が0ではなくて1だったということをポジティブにとらえたい。今年はこのようなことが多いですが、そういったものも含めて次に向けてしっかりとまた切り替え、今度はナイターで、三重は力のあるチームなので、しっかりと勝ち切れるように1週間いい準備をしたいと思います」
今季のJFLも残り9試合となった今、昇格の可能性がある2位以内に迫りつつあるラインメール。J3昇格への機運を、現段階で監督自身はどの程度感じているのかを最後に聞いた。
「僕の中ではかなり感じています。上がるべくして上がっていかなくてはいけないと想定してやってきています。選手たちにとってそれはある意味プレッシャーになっているかもしれないですが、シーズン前には、そのプレッシャーを受けられるのはそういう資格を持っているからこそ、その順位にいるからこそだと話しました。去年は10月の2試合で、昇格したFC大阪と奈良クラブに連敗して昇格できなくなってしまった。やっぱりその試合は硬かったです。そのプレッシャーを楽しめなかったんですよね。選手たちにはプレッシャーかもしれませんが、彼らは彼らでそれと戦っていかなくてはいけないという自負はあると思います。あとは、クラブとしてももうちょっとやっていかなくてはいけないことはたくさんあると思います。そういう意味では、我々ができることは結果でその機運を作ることだけだと思うので、一つひとつ積み上げて、中断期間に一つでも上の順位にいることを目標にして彼らと共有してきました。残り9試合ですが、あと3試合やると2週間空くので、三重、滋賀、沖縄にしっかりと勝ちきりにいかなくてはいけないなと思います」
勝点1を得て3位にとどまったラインメールは、次節、アウェイでヴィアティン三重と対戦する。
次回のホーム戦は9月24日(日)、13時キックオフ。新青森県総合運動公園球技場でレイラック滋賀を迎え撃つ。