2種(高校生)
青森山田高校セカンド、東北の頂点に立つ -PICK UP PLAYERS-<高円宮杯U-18プリンスリーグ東北>
2022年10月27日
10月22日(土)、高円宮杯U-18プリンスリーグ東北を戦う青森山田高校セカンドは、今季最終戦をホームで迎えた。
ホームで自力優勝を手にしたい青森山田セカンドは、ブラウブリッツ秋田U-18に3-0で勝利。2019年以来3年ぶりとなるリーグ優勝を果たした。
今回は3年生の3選手をピックアップ。優勝の喜びと共に、ここまでの振り返り、今後に向けての意気込みを聞いた。
ホームで優勝を決め、「安心した、というのが一番大きいです」と最初に語ったMF24中川勇輝。出場停止となった1試合を除く17試合で先発出場し、スピードに乗った攻撃参加が魅力のサイドバックだ。
優勝が懸かったこの試合にチームの誰もが強い思いで臨んだが、とりわけ中川はこの試合で何としても挽回したいと強く心に期するものがあった。1週間前、勝てば優勝が決まるはずだったベガルタ仙台ユース戦は、中川の受け持つ左サイドから崩された結果、3点のリードを守り切ることができず引き分けに終わっていた。
「自分のせいで、ベガルタ戦は3-3という結果になって。ホームでやってやろうという気持ちで1週間集中して挑んだ試合だったので、勝って本当に嬉しかったです」
この試合では、左サイドハーフのMF8アマエシハリソン翼の縦への推進力を信頼し、自身は守備に重点を置いてプレー。失点0に抑えることを徹底しつつ、機を見た攻撃参加で勝利に貢献した。
全国高校選手権で初優勝した青森山田高校をテレビで見て、自分も選手権に出たい、全国大会でプレーしたいという思いを胸に、徳島県から青森山田中学校へ。当初はホームシックにもなったというが、寮生活で仲間と苦しみも喜びも分かち合いながらここまで来た。
青森山田での6年間で成長したのは、「誰かのためにやる」という心だったと話す中川。支えてくれた家族のため、友達のため、そして試合ではチームのために走り続けた。
「優勝を目標にして1年間やってきたので、達成できて嬉しかったです。それを通過点として、次は選手権に向けて頑張っていきたい。県で優勝して、そこから全国に向けて、自分もメンバーに入れるように努力していきたいと思います」
・
開幕当初、途中出場が多かったMF15成田朱偉は、県総体・東北大会の中断期間明けから次第にスタメンに定着。
「今までなかなか出られない時期があったなかで、最後はスタメンという立場で試合をして、点を取れて勝ったというのが嬉しいというか、ほっとしています」
アディショナルタイムには今季4点目となるゴールも記録した。「その時は、自分としては落ち着いていて、相手が見えていて。相手が来たところを冷静にかわして、打ったらいいコースに行きました」と得点場面を振り返った成田は、プレースキッカーとしても多くのチャンスを演出。「キックの質には自信があります。そこはコーチにも認められている部分でもあり、キックでチームにいい影響をもたらせたらと思ってずっとプレーしていました」。攻撃に重きを置きながらも、このプリンスリーグを通して「守備の面で、誰よりも走って、誰よりも関わって、という部分が一番成長したなと思います」と話す。
木ノ下アルビローハSSSから、選手権出場を夢見て青森山田中学校へ。「性格的に控えめで、自分を抑えてしまうことがあった」というが、青森山田に来てからは「仲間と一緒に、仲間のいいところを引き出しながら、どうしたら自分を出していけるかというのを意識しながらやってきた6年間でした」と語った成田。
「達成感でいっぱいです。苦しい時期もあり、楽な試合は1試合もなかった。みんなのおかげで勝ち取った優勝だと思います」と優勝の喜びを噛み締めながら、「選手権に出られるかはわかりませんが、もし出たら今日みたいに点を取って、目に見えるような結果で示せたら最高です」と笑顔を見せた。
・
第15節から最終戦までの6試合でスタメンを務めたMF8アマエシハリソン翼は、サイドから中に切り込み、相手が枚数をかけて止めにかかろうとも一人で打開できる、突破力のあるアタッカー。今季開幕当初はプレミアリーグEASTでベンチ入りしていたが、「プレミアリーグの試合では、縮こまってしまうことがありました。プリンスではどんどんチャレンジしていくことができて、突破力や相手を剥がすことが伸びたと思っています」と話す彼もまた、プリンスリーグの舞台で躍動した選手だ。
「優勝できて嬉しいです。自分は松本コーチに恩返しをしたいという気持ちがすごくありました。松本コーチが日頃から練習で教えてくれることを実戦に生かしてアシストできたので嬉しかったです」と優勝の喜びを語ったアマエシ。
FC東京U-15深川から青森山田高校に進んだ鈴木尋(関東学院大1年)、安齋颯馬(早稲田大2年)といった仲の良い先輩たちの背中を追いかけて青森山田の門を叩いた。それまでは試合に対する思いが乏しく、本人曰く「適当にやっていた」というが、青森山田に来て意識が大きく変わっていく。
「一つひとつのプレーに責任を持たないと、自分のところで失点してしまう。ここに来て、チームのためにという気持ちが芽生えました」
青森山田の名物でもある雪中トレーニングは、「きついからこそ、仲間同士で助け合う場面がすごく多かった」という。試練を乗り越えて全員が一つになり、チームとして団結し絆を深めた高校生活も、次第に残り少なくなってきた。これから迎える選手権に向けてアマエシは、「試合に出て、自分が点を決めてアピールしたい」と強い意欲を見せている。
インターハイ・高校選手権の常連校や、Jリーグの下部組織、名だたる強豪チームが集うプリンスリーグ東北。選手たちも口にしたように苦しい試合も多かったが、激戦を制し、セカンドチームながら東北の頂点に立った青森山田高校セカンド。ここでの経験、学びは確実に彼らの成長につながり、今後に生かされていくことだろう。