2種(高校生)
高円宮杯U-18プレミアリーグEAST第16節 青森山田高校vs鹿島アントラーズユース
2018年11月26日
11月25日(日)、青森山田高校グラウンドで高円宮杯U-18プレミアリーグEAST第16節が行われた。
勝てば即優勝が決まる首位・鹿島アントラーズユースと、目の前での胴上げを阻止して逆転優勝に望みをつなげたい2位・青森山田高校。勝点4差で迎えた1位2位直接対決への注目度は非常に高く、800人もの観客が勝負の行方を固唾をのんで見守った。
得点ランク1位を独走するMF➉檀崎竜孔を擁しリーグ最多得点を誇る青森山田と、リーグ最少失点の鹿島ユース。開始12分と早い時間帯に先制を許し、「1-0で勝ち切る」というゲームプランが崩れた青森山田だったが、後半、多彩な攻撃で鹿島ユースの固い守備を揺さぶり続けると、ついに86分、右サイドからMF➉バスケス・バイロンのシュートがゴールネットに突き刺さる。互いの意地とプライドがぶつかり合った激しい一戦は1-1の引き分けとなり、残り2試合での逆転優勝に望みをつないだ青森山田。ファイナル出場を懸けた優勝の行方は、次節以降へと持ち越された。
「今日優勝されなかっただけでも、とりあえず(次に)つながった」と、この日の激闘を振り返りひとまずは安堵した様子をみせた黒田剛監督。
「最後に1点取って(失点)ゼロでいって1-0で勝ち切る、というゲームプランが序盤で崩れてしまったのですごく苦しみました。去年の選手権で長崎(総科大附属)に負けた時と同じケースで点を取られてしまった。あの1本のシュートだけでしたが、それが決まってくるのが全国なので、いい意味での教訓にしなければいけない。
ここで優勝を決められなかったということをポジティブにとらえ、今はとことん苦しんでやった方がいいと思います。負けていい試合などこれからひとつもないわけですから。まずは次のエスパルス戦に向けて、奇跡が起こることを信じてやっていきたいと思います。まだ可能性はないわけではないので」
8年目のプレミアリーグで、青森山田は今季開幕から16試合無敗が続いている。
「ここまで16戦無敗で来ているというところは評価できますが、これで7引き分けで、取れるところで取れないで引き分けになってるところがあります。引き分けに何とか持ち込んだのは1、2試合くらいであって、あとは取り切れないで引き分けに持ち込まれた。そういう試合を勝ちに持っていけるようにしていかないとトーナメントでは相当苦しむと思いますし、そこはこれから詰めていかないといけないところです」と、指揮官は課題を挙げた。
高校選手権青森県大会からわずか8日で迎えたプレミアリーグ。「(切り替えるのは)すごく難しかった」と話した、MF⑪バスケス・バイロン。何度も決勝戦の映像を見たが気持ちの整理がつかず、サッカーノートと向き合うことでプレミアリーグに向けて気持ちを切り替えていったという。
「本当にもう引き分けも負けもいらないというゲームの中で、プランとしては(失点)0でいって、1点は絶対に入ると監督も言っていて、自分たちもそう思っていました。失点をしてしまっても、チームとしてはまず1点を決めてそこから2点目いこうという話をしていて、なんとか最後1点入ったんですが、勝ち切れなかったことはすごく悔しいです。
本当にアントラーズには負けたくなかったので、もし負けたら優勝(を決められてしまう)という中で、何が何でも決めてやろうと気持ちも入っていましたし、魂入っていましたね、今日は。一番は勝ちたかったというのが本心です。可能性はまだ残っているので、どんな形だろうと最後プレミア2試合しっかり勝って、選手権にはずみをつけてチームとしてもっと成長していきたいと思います」
負けたくない。何が何でも決めてやる―――。その強い思いが、土壇場での値千金の同点弾につながった。
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「監督からは『先に失点したらきついぞ』と言われていました。起こってしまったことは仕方がないので切り替えろとは言っていたんですが、最終的にこういう難しいゲームになってしまったので、あの失点がなければとは思いました。そこも修正点としていきたいです」と話したのは、GK①飯田雅浩。
「本当にタフな試合で、空中戦や球際が激しくなるということや、アントラーズはJリーグクラブでもフィジカルを活かした高体連的なサッカーをしてくるというのは分かっていて、それを今週(練習で)やっていたんですが、やっぱり試合になるとひるんでしまう選手もいました。でも最後追いつけたというのは大きくて、それは自分たちの力だけではなくてホームの利点を活かしてみんなも盛り上げてくれたので、そこは良かったです」
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「自分のところから競り合いで負けて失点して、そこはもっとやらないといけなかった」と反省を口にした、MF⑧武眞大。
「アントラーズにここで優勝を決められるのはサッカー選手としても嫌でした。アントラーズに負けないということだけを考えて、(選手権)予選でもいい流れではなかったので、修正してこの試合に持っていきたいと思って臨みました。
自分たちの流れの時間が多く、自分が出ている時も自分のところでもシュートチャンスがあったんですが、それをものにできませんでした。最後バイロンが決めてくれましたが、決定力を上げないといけないなと思いました」
残り2試合となったプレミアリーグ。青森山田は次節、4位・清水エスパルスユースと、そして最終節は5位・市立船橋高校とのアウェイでの対戦となる。逆転優勝を果たすためには1試合たりとも落とせず、同時に鹿島ユースが勝点を取りこぼす展開となる必要がある。厳しい状況の中でも、可能性を信じて選手たちは前を向き、残り2試合に挑む。
「あと2試合は自分たちがまず勝つことが第一条件という難しい戦いになりますが、1試合1試合、目の前の試合に懸けて、絶対に勝つことを意識してやるだけです。去年も悔しい思いをして、プレミアリーグは自分にとって特別な舞台なので、あと2試合、緊張感もあると思いますが、楽しみも持ってやっていきたいです」(飯田)
「エスパルス戦と市船戦は簡単な試合ではないと思うので、本当にこれからの準備が大事になってくると思います。自力優勝はないですが、自分たちは勝つことだけを考えて準備していきます」(武)
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第17節 清水エスパルスユースvs青森山田高校
12月1日(土)13:00~ @IAIスタジアム日本平
第18節 市立船橋高校vs青森山田高校
12月9日(日)13:00~ @船橋市法典公園(グラスポ)球技場