大学サッカー通信
第18回 大学サッカー通信 ~小山内慎一郎(青森山田高校→慶應義塾大学1年)
2018年10月04日
第18回 小山内 慎一郎(青森山田高校→慶應義塾大学ソッカー部 1年)おさない しんいちろう
青森県出身。青森山田中学校から青森山田高校へ進学。中学3年時、全国中学校サッカー大会優勝。高校2年時は、高円宮杯U-18プレミアリーグと全国高校サッカー選手権優勝を経験。3年時はキャプテンを務めた。
青森ゴールVOL.11、14、29、30、44、45、46、47、49、50、青森山田2冠達成記念誌にインタビュー掲載。
取材日 2018年9月17日(月)
慶應義塾大学下田グラウンド
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この春、慶應義塾大学に進学した、昨年の青森山田高校サッカー部の主将・小山内慎一郎。高校サッカーから大学サッカーへ飛び込み、約7か月。思い描いていた「理想と現実」に苦しむ日々を、赤裸々に語った。
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―理想と現実― 「最初は自信満々に、1年目から活躍して選抜に入って、と考えていました」。大学1年から活躍することを夢見て入学してきたが、理想と現実は違った。前期のリーグ戦では追加登録されたものの、試合出場はなし。トップチームにいながらも試合に絡めない現状が続いている。「高校1年生の時も、ずっとこんな感じでした。でも、いつか絶対に試合で使ってもらえると信じてやってきました。あの頃と似ているのかなと思うんですけど、結局そこから成長していないじゃないですか。高1の時にそういう経験をしたから、大学1年生から殻を破っていれば良かったけどできなくて、今、こういう状況です」。
殻―それは今、小山内の前に大きく立ちはだかる壁だ。高校時代は、練習中や試合中、気合いを入れるために大きな声で叫んだりしていた。しかし、大学でそんなことをしている選手は誰もいなかった。「高校と大学で、試合の運び方やサッカー自体も違うんですけど、気持ちの作り方も違うんですよね。だけど、できないことはないんですよね。何が悪いって、自分が悪いと思うんですけど…」。殻を破れない自分がいる。高校でやってきたことが、大学でできないもどかしさを感じている小山内だが、かつてのチームメイト・蓑田広大(法政大学1年)は殻を破り、着実にステップアップしている。「広大と話していると、俺は何をしているんだろうと思う」。高校3年時、一緒にCBを組んだかつての相棒は、トップチームの試合に出場するだけでなく、U-19全日本大学選抜EASTのメンバー入りを果たし、9月に行われた「2018アジア大学サッカートーナメント」に出場。各国の代表と対戦し、U-19全日本選抜EASTは優勝を果たした。「広大は、法政大学で誰がうまいとか関係なく、俺が一番うまい!って自分に自信を持って、高校の時以上にやっている。周りから吸収して学んで、そういう選手が上にいくんだなっていうのは、広大の活躍を見ていたら思います」。
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写真左から、鍵山慶司(東洋大学)、蓑田広大(法政大学)、小山内慎一郎、佐藤拓海(神奈川大学)
青森山田高校サッカー部を引退した後の座談会の様子。かつてのチームメイトとは、今でも連絡を取り合あっているという。
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―大学生活― 大学生になり、勉強面でも苦労しているという小山内。「ソッカー部は勉強を優先しています。練習と授業の時間が重なっても授業を優先できるので、しっかりと授業には出られるんですけど、もしそうじゃなかったら苦労していますね」。片道約1時間半の通学時間は、予習復習の時間に割く。朝練後に学校へ向かい、学校が終わるとまた約1時間半かけて戻ってくる。「今、一番課題なのはフィジカル」と、学校の後は克服するために筋トレに励んでいる。家に帰るのは22時。取材日は夏休みだったが「学校が始まるときついですね…」と、勉強にサッカーに、忙しい日々を送っている。
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「高校と大学では、フィジカルが違います。高校生の時は、危機察知能力とカバーリングに長けていたと思うんですけど、大学にきたら、身体能力が違う。関東の選手は、ごつい、速い、動ける!」
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―試合に出る。出なきゃいけない。絶対に出ます!― 試合に出られず、もがき苦しむ日々だが、何度も「後期は試合に出る。出なきゃいけない。絶対に出ます」と自分に言い聞かせるように言っていた小山内。それは、高校時代の恩師に会うためなのだという。「黒田監督は神です!本当にすごいんです!大好きなんです。正木さんとか大久保さんも、マジで好き」。怒られても、尊敬しているからこそ頑張れた。しかし、試合に出ていない今のままでは合わす顔がない。「今の目標は試合に出ること。親もそうですけど、監督のおかげでここまで成長して、試合に出て頑張ってますって言いたい」。