大学サッカー通信
第25回 大学サッカー通信 ~住永 翔(青森山田高校→明治大学3年)
2019年06月01日
第25回 住永 翔(青森山田高校→明治大学3年)
すみなが かける
北海道出身。
コンサドーレ札幌U-15から青森山田高校へ進学。3年時には主将を務め、高円宮杯 JFA U-18プレミアリーグでチーム初の優勝を果たすと、全国高校サッカー選手権大会でも全国の頂点に立った。同大会優秀選手に選ばれ、日本高校選抜選出。代表歴はU-20日本代表候補。
青森ゴールVOL.36、37、38、39、40、41、43、44に掲載。
取材日 2019年4月27日(土)@AGFフィールド
第93回関東大学サッカーリーグ1部 第3節 明治大学vs流通経済大学
「パルティード ア パルティード」―
青森山田高校の主将を務める住永の鮮烈な選手宣誓から幕を開けた、第95回全国高校サッカー選手権大会。同大会でチームを全国優勝に導いた彼は今、大学3年となり、試練の時を迎えている。住永の今に迫る。
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廣末陸(レノファ山口)や髙橋壱晟(モンテディオ山形)を擁し、全国2冠を達成した青森山田高校。個性の強いそのチームをキャプテンとして見事にまとめあげた住永。大学入学後、「もちろん、青森山田のキャプテンとか、2冠を獲ったキャプテンというのは言われました。練習試合でも、あれ住永じゃね?って言われたり。でも、全然気にしていなくて、いちサッカー選手として良いパフォーマンスを出して自分をアピールすれば良いと思っています。僕たちの代は15人いるんですけど、半分くらいは元のチームでキャプテンをやっていたので、そう言われるのは僕だけじゃないんです」と何とも住永らしい答えが返ってきた。
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現在、住永が身を置く明治大学サッカー部は、個人成績やチーム成績などの条件を満たし、かつセレクションに合格した者だけが入部できる狭き門である。全国的に有名な選手ですら入部が難しい狭き門であるが、青森山田高校の先輩にあたる差波優人や室屋成(FC東京)なども明治大学の門を叩いた。私生活の部分でも厳しいとされる明治大学。「入る前から色々と話を聞いていたので、入学後は、練習やピッチ外で1年生としてしっかりやれていたかなと思います。楽ではないけれど、ある程度余裕を持ってできたのは青森山田の3年間があったからこそ」。親元を離れ、青森山田高校で厳しい3年間を過ごした上に、大学でもあえて厳しい環境に身を置いたのは「サッカーでもサッカー以外でも、自分が成長するために一番良いところだと思ったから。本気でプロサッカー選手を目指す奴が、そういう環境に入らなきゃ駄目だと思って明治大学に入ったので、入る前も入った後も、イメージとそんなにギャップはないかなと思います」と、充実した様子がうかがえた。
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自分がいるところは明治だから 全国から精鋭たちが集まり、凌ぎを削る関東大学サッカー1部リーグ。1年時からトップチームに関わってはいるものの、3年生となった今も、なかなか出番を掴めずにいるが、「今の立場は、自分の中では成長できるポジションだと思っています。自分の特徴であるリーダーシップをとるとか声を出すこと、足元の技術には自信があります。技術面でも通用すると思っています」と前向きだ。毎年、多くのプロ選手を輩出している明治大学で、「そういった多くの選手たちと練習を経験することはマイナスではないと思っています。あとはどうやって試合に食い込んでいけるか。トップの試合に出ることが、もちろん一番のアピールになると思います」としつつも、チーム内の競争が、よりチームをより良い方向へ向かわせ、住永自身の成長にも繋がっているようだ。
大学1年の冬に大怪我をし、完全に復帰できるまでに約5ヶ月かかったという怪我のリハビリ中ですら、「強くなるチャンスだと思っていた」とポジティブ。それまで大きな怪我をしたことがなく、手術も初めてだったというが「怪我人はこういうメンタルなんだ、こういうことを思うんだということがすごく分かった。その時間があったからこそ、サッカーを客観的に見ることができたので、自分の中ですごく大きな収穫だったなと思います」と、常に逆境をチャンスに変える姿勢はさすがである。
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大学サッカーの魅力「大学サッカーは、がむしゃらに失敗を恐れないでポジティブにできることと、学業と部活動の両立や仲間とのコミュニケーション、人間形成の部分で日々成長できると思います。質の高い選手や有名な選手が集まってくるので、プロに行く前の段階で良い経験ができ、成長に繋がっていると思います。
スピード感が体にしみついて、プレッシャーが早い中でも状況判断や技術を磨くことができると思うので、高校の時と比べても良い刺激になっています」
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「今年はまず怪我をしないで、しっかりとトップチームのスタメンに食い込んでレギュラーに定着できるように、日々の練習からの持っている力を出して挑戦していかなきゃいけないです。あとは上級生になるので、後輩たちに明治のあるべき姿を伝えたり、背中で見せていかなきゃいけない役目だと思っています」と、今シーズンの目標を語った住永。卒業後は「プロの世界に入ってしっかり活躍して、日本の中心選手になること」ときっぱり。
この取材から数日後、住永はトップチームの試合でスタメンに名を連ねた。勝負の年になるであろう今シーズン。ピッチで成長した姿を見せてくれることを期待したい。
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